逆張り商売

新宿ヒルトンホテルのロビーで待ち合わせをしていた。すると車寄せに白く目立つリムジンが目に入った。降りてきた2人こそ本日の目的の人であった。モデルのような奥様はいつも一緒に行動するようだ。
最上階にあるスイートに案内された。この部屋は年間借りしてオフィスとして使用している。
ホテルと交渉して長期間借りる事で破格の値段を実現している。A氏は幅広い事業に携わっているが、いずれも業界の経験が無いのが特徴でもある。自分が矛盾と感じた体験をビジネスに転換しているので既成概念が無いのは勿論のこと、発想が逆張りで結果お客様にとって都合がよくなるのだ。
最近ではマスコミにも盛大に取り上げられているが居酒屋を革命するために焼酎を無料にしている。
いくら飲んでもただである。鹿児島産の一流の品を大盤振る舞いしている。おまけにタバコもただなのだ。この発想こそ逆張りである。普通はこれでは利益を生み出さずに終わってしまうと考えがちであるが
A氏の考えは広告宣伝費として充分にペイ出来ると言う。現にどこの店舗も行列なのだ。ちゃんとに益も出していて加速度的に出店している。同時にラーメン革命と称してカレーライス無料をやっている。
学生が4杯も5杯も食べる時があるらしいがただである。ここもラーメンで一日500食は出ていて収支は合っている。要するに前例が無いのに実践して商売にしているところが凄いと思う。
到底無茶だと思われる発想だがA氏は計算尽くされた事なので当然という素振りである。
ホテルの長期借りも今後のビジネスの柱としてチャレンジするそうだ。
物が出来すぎて売れなくなる時代である。着眼点がお客様にとってお得な状況を作り上げてから、どのようにして利益を出していくのか。ここに知恵を出すことが今後取り組む課題であると感じた。

熟練の一品

妻の誕生日をどこでやろうか迷っていた。この前行った絶品のすし屋に連絡したが、あいにくキャンセル待ちとのことだった。
食通に聞いてみようと連絡したら、人形町のすき焼き屋さんを紹介してもらった。
その際にお持ち帰りの品ではないが、しぐれ煮が最高に美味いから交渉してみるように勧められた。当日行ってみると1階に肉の小売りの店があってお客さんで賑わっていた。
建物も80年近くになり伝統を感じさせる作りになっていた。2階に上がり部屋に案内される際、女中さんが多勢いらして挨拶をして下さったので驚いた。おおよそ20名位だっただろうか、
後で聞いたら部屋が10室あるというので、人手のいる商売のようである。
メニューには当然しゃぶしゃぶもあるのだが、数日前に予約が必要なので当日に変更するのは難しいという。理由は出し汁を一から作るというのだ。店はここ人形町の一店だけというから、仕事を丁寧にやられているのが解る。
すき焼きメニューで梅、竹、松とあったので全て注文してみた。一皿に3枚しか肉がなかったので足りないかと思ったがとんでもないボリュームだった。
子供2人を連れて来てちょうど良かった。味は竹が一番だったが、やはり肉質は素晴らしくデパートにおろしているだけの素材で充分に堪能できた。妻も大満足であったが、私も含め満腹になり過ぎてしばらく立てなくなってしまった。
最後にお土産の品を交渉してみた。やはり、普通は出さないそうだが紹介者のお陰も手伝ってか、ぶら下げてくれたのだ。しかし、本日中に食すという約束の為、満腹状態が治まっていない中、最後の一踏ん張りで家に帰ってからビールと一緒に食した。そんなコンデションにも拘わらず、それはもう絶品だった!山椒が入っていると聞いていたが絶妙の配分だった。翌朝、ご飯と一緒に食べてみた。昨夜の感動は得られなかったが普通に美味かった。
熟練の一品であった。

夏休み

休みに入って直ぐに取引先の招待ですし屋に行った。食通の方だったので期待に胸踊らせながらであったが、見事に期待を上回る結果となった。食通ではしゃりが七割と言う事を聞いた憶えがあったが、正しくその感覚であった。実にしゃりが美味い。江戸前なので下味が全てに施されていて醤油は一切使用しない。すしの真髄を知れた素晴らしい体験をさせてもらった。
東京湾大花火大会を鑑賞しに行ったが新橋駅に到着すらや、大混雑状態でゆりかもめに乗り込む事が困難な程であった。予めホテルからの鑑賞スポットを押さえてあったのでタクシーで向かうが大渋滞で歩くのを余儀なくされた。とにかく何でこんなに人が集まるのかと思うほどだった。
広範囲から見れるので自宅から鑑賞した人も多いのではないか。私が鑑賞した場所は良く見えはしたが、値段的にもサービスからしてとても満足する内容ではなかった。演出を工夫するなど課題が多く感じられた。
久しぶりに家族で川遊びに出かけた。透明感があって冷たく気持ちよい水に潜って遊んでいたが、流れが急な場所もあったり深くて足がつかないのだが、スリルを味わうのが嫌いでない私は子供を誘いあえてそのような場所を選んでいた。調子に乗って遊んでいた私は疲れも手伝ってか流されてしまったのだ。まるで海で波にのまれたような洗濯機の中のグルグル状態だった。
必死に岸にたどり着いたが危うくのところだった。子供でなくて本当に良かった。川をなめたらいかんぜよ、と言われてる感じがして恥ずかしいような、いい加減にしなければという自責の念に駆られる場面であった。
色々あったが充実した夏休みだった。

お茶やさん

向島のお茶やさんに遊びに行ってきた。
遊びなれた先輩方と共に座敷へ上がった。私は初めての経験だったので半分楽しみにしていたが、どんな風に楽しめるのか興味深く思っていた。今回は参加者の中の一人が誕生日ということもあって祝いの席となった。
誕生日の本人が天然鰻を釣ってきたのでの持ち込みがメインの食となった。
別の参加者は日本酒や、ワインを持ち込んでいたのが不思議だったので聞いて見た。
料理屋なのにわざわざお酒を持込む訳は何ですかと。すると本人は美味しいお酒を飲みたいからだという。要するに自分の好みの酒は店には置いてないということなのだ。
おまけに持ち込みの高額な酒を芸者衆に振舞っている。
もうひとつおまけに、この人は行きつけの鰻屋にタレだけを頼んで持参して来たのだ。
驚くべき食へのこだわりと言うのか、贅沢三昧とは正にこの事であろう。
食してみたがタレ焼きと蒸したものを比べてみても、断然タレで焼いたものに軍配が上がった。
しかも、絶品の美味さだった。流石にタレだけを持込むだけのことはある。
こうして食している間に芸者さんと酒を組交わしながら、食や趣味の話をして盛り上がる感じである。そして、合間を見て芸者衆が順番に舞を披露する「お座敷」時間を楽しんだりする。
大広間に客は四人という他の目を一切気にしなくて良い空間は贅沢だ。
女将や若女将と話をして気づいたが、芸者さん同士皆家族と言った感じを受けた。
本当にプライベートから何まで親子関係に近い関係で結ばれているようだ。
今時のクラブや夜の世界では考えられない関係で客を楽しませてくれる。
貴重な体験をさせていただいた。

団体旅行

今年で二回目の参加となる赤坂フェニックス会の旅行は25名が集まり、2日間の日程で新宿を午前7時に出発し観光バスで立山黒部アルペンルートへと向かった。
バスで行くには長時間要すると思っていたが意外に近く5時間で到着した。
黒部に上がるアルペンルートは富山県から入るルートと長野県から入るルートが有るが、今回は富山県からトロッコ電車に乗りバスを乗り継ぎ黒部ダムまで一気通関のコースとなった。
途中、室堂で散策をしたが雪景色に驚愕すると同時に、真夏にもかかわらず冬の気候を体験した。
空気が薄い為に息切れする同士達を後目に私はどんどん進んで行った。
団体旅行特有の行動に向いていない私は自由がきかなかったり、乗り継ぎの待ち合わせが決められたりするので、自分の思った通りに行動出来ないジレンマに落ち入っていた。
海外旅行などのツアー等も例外でなく、何時も行く時はツアーは組まない。
しかし、ここ黒部アルペンルートは自家用車では行けないのだ。
トロッコ電車、高原バス、ロープウエー、等で山を幾つも越えた先にあるので100%自力では行けないのだ。ヘリコプターでもない限り団体行動を余儀無くされてしまう。
そんな苦労の末に黒部ダムに到着した。そのスケールに驚愕し、こんな山奥に人間の手でこんな大規模なダムが作れるものなのかと。まさに神業とはこの事をいうのだろう。
放水の勢いに感動し、歴史を知れば知るほど偉業さが伝わってきた。工事に携わって殉死した方々の数は171名だと記されてあったが、実際には身元も解らない人達も工事に携わったというから、もっと多くの方々の犠牲のうえで完成したのだろう。それにしても壮大な景観とスケールは驚くべくものであった。
是非、もう一度訪れたいと思った。
2日間の日程を終え、新宿に到着したのは10時を回っていた。夏休みの影響もあり遅れての到着となったが、帰りのバスでは旅行の楽しい話に花が咲いた。