一坪商売

知人の紹介で、ある人物に会いに伺った。
目的は店舗の視察にあった。

御自身の引退に伴い、店じまいを考えていて売却を考えているそうだ。
浅草の駅を降りるとすぐそこに店舗があったので驚いた。
永年この仕事に携わっているが改札のすぐ隣にある物件など聞いた事も見た事もない。
75歳になる肌ツヤの良いご年配の方が、カウンター越しにお客様と話をされていた。
私はそのお客様が帰るのを待っている間、そばで立っていて人の動線を観察していた。

意外に外国人は少なかった。
観光客の場合は電車を利用するよりも、バスやタクシーの方が多いのだろうか。
ビジネスマンや年配者の方が多いようである。
それに比べると学生以外に若い女性は少なかった。

そんな観察をしていたら、お客様がお帰りになったので、私は店舗に招かれて狭いスペースの中に入った。
名刺交換をすると、開口一番「貴方は運の強い人だ」と言う。
勿論、言われて悪い気はしないが続けざまに占星術とか気功の「気」に関することや健康に関する書物やドリンクを見せて頂き、そのエネルギーに圧倒されてしまった。
おまけにネットワークビジネスをやっていて、それのモチベーションが凄く高いのだ。
果物屋を本業としながらも色んな勉強をされて、チャレンジングな方である。

話を聞いているうちに昔の話になった。
50年前にここで商売を始めて大儲けをしたそうだ。
自慢気に話す事なく淡々にお話しをしていた。
一坪商売の醍醐味は、一日中お客が途切れない事だったという。
朝は始発に合わせ5時から準備を始め、終電の12時まで営業しているので、奥様と二人で交代勤務だったとしても大変である。
おまけに祭り事があると、家に帰る気力がなくなるほどフラフラになるそうだ。

この商売の秘訣は仕入れにあった。
私はそれを聞いて驚愕してしまった。
昔は市場で鮮度が微妙になったバナナ等は色が変わると商品にならないので、向こうから言い値で買ってくれと言われるそうだ。
トラック一台分の山のようになったバナナを買取り冷凍保存して、それをミキサーで他のフルーツとブレンドしてジュースとして売りまくった。
利益率85%なり。
利は元に有りとは正にこの事である。

今は体力も続かなくなったので店じまいをするそうだ。
しかし、現役を退いた後もネットワークビジネスは継続するそうだ。
何と言う商売に対する情熱か。
いや、お金大好き人間とも言えそうだ。
私が同じ年齢になったとしてもそのパッションがあるかどうか、正直自信はない。
これから始まる店舗売却の値交渉が非常に楽しみだ。

美容室

原宿にある友人の美容室に、最近になって行き始めた。
明治通りに面したガラス張りのオシャレなビルに100坪フロアを借りている。
美容室がひしめくこの界隈でも最大級な規模だろう。
家賃だって坪5万円だしスタッフの人数にしてもトップクラスである。

先日、中学一年生の息子を連れて行った。
スタイリストの指名はトップのカリスマ美容師ヨシキだ。
彼は技術もさることながら、もっぱら撮影や講師を担当している超売れっ子なのだ。
年収だって数千万を取る実力を誇っている。
その彼の手で息子の髪が短時間でかっこよく仕上がる。
髪のセットの仕方からワックスのつけ方まで教わり、本人は大満足である。
そんな中、店内を観察していたらスタッフの人数が多いせいもあって活気が凄い。
スケールが大きいのもあるが街中の様に人が行き交う光景があって、お客様の数とスタッフの数がほぼ同数に近いのでスタイリストに付くアシスタントが掛け持ちで飛び回っている。
何かゴージャスな雰囲気なのだが、ホテルのようなゆったり感とは違いスタッフ達の真剣勝負の場の緊張感が合間って凛とした感覚さえある。

スタイリストに付くアシスタントに聞いてみた。
スタイリストになるまでの道のりの厳しさは、店が終わってから練習するので帰るのが12時を過ぎる毎日だと言う。
従って住まいも近くに借りる様になるらしい。
大体の人は地方から上京して、東京の原宿のトップを張るサロンで勝負してみたいという若者で夢を持った人達が揃っている。
それとは別に、オペレーションは専門部隊が受付や電話の予約を担当している。
システマチックに洗練されていて、銀座にも同規模で出店が決まっている上げ潮の美容室だ。

しかし、最近は原宿のマーケットが飽和気味で、本店を銀座に移したり、新規出店も西から東に移っているそうである。
アパレルにしても原宿もさることながら、有楽町界隈が最近活気がある事から全体の流れが銀座方面に行っている傾向が伺える。
何れにせよ、美容室も本当の実力がないと生き残りが厳しい時代になったようだ。

究極の中華料理店

友人から話は聞いてはいたが、正に驚くべき中華料理店だった。
そこは極という表現にピッタリな場所にあり同時に店の在り方もそうである。
南極や北極という地球から見た両極の様に、ここ新宿歌舞伎町とは極な場所である。
私もかなり久しぶりにこの地に足を踏み入れたが、まぁ凄い街だと思う。
酒池肉林のマーケットではおそらく日本一ではなかろうか。
やくざ、黒服、キャバ嬢、ホスト、外国人、学生、らが行き交いながら活気づいている。
店舗の数だって相当な規模だし銀座や六本木の比ではない。

そんな歌舞伎町を区役所方面に歩き、更に路地裏に入り込んだところに店がある。
店内は共産党を象徴する絵画や置き物があったりして、従来の中華料理店の雰囲気とは明らかに違っていた。
店は狭く二階建てになっている。店員は全て中国人だった。外で従業員が皿を洗っているし、まるで中国に来たかのような錯覚に落ち入ってしまう。

極めつけはメニューである。
日本では滅多にお目にかかれない代物がある。
犬の肉料理、豚の脳みそ、カエル、牛のぺニス等、驚くべき文字と写真がメニューに載っている。
しかし、上海蟹でも雄、雌を用意してたり野菜類、肉類、海鮮、スープ、麺類等メニューが実に豊富で安い。
おまけに味付けを日本風にアレンジしているので美味い。
その日一番は揚げパンに蛤の醤油煮ベースソースをつけて食べたのが美味かった。
ゲテモノは別としても他の中華料理店とは違うメニューが楽しめる、そして美味しくて安いのだから店も繁盛している。
昼はやらずに夕方6時から朝の5時まで営業しているそうだ。
極の場所に極の店があるという凄い中華料理店だった。

次回はあれにチャレンジしてみようと思っている。

夢と勇気とサムマネー

私の友人達は年末から大騒ぎだった。
投資で失敗しておけらになった者、お手上げで打つ手なしの者、呆然と立ち尽くして動けなくなった者、想定の範囲で治まったとがっかりする者、夢を見てしまったねと次に前進する者と、各人様々であったがお粗末な幕切れとなった。

ほとんどの連中が高利回りがずっと続くものと信じて疑わずにのめり込んでしまった。
バブルの頃に見た何の実力もない連中が、料亭で飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをしている光景にそっくりだった。

しかし、人間の性としては当然かも知れない。
欲が増殖して止まりたくても止まれない心境だったに違いない。
本業を疎かにして楽な投資に身を投じてしまったツケはあまりにも大きい。

3.11から学ぶべき事は何だったのか?
天が教えてくれた行き過ぎの時代からの転換を…
私は友人の一人として苦言を呈する役目をしたが中途半端だった。
虚業から実業への転換をもっともっと勧めるべきだったと後悔して止まない。

しかし、お手上げになった友人達も夢と勇気とサムマネーから再出発して欲しい。
夢と勇気があれば少々のお金があれば幸せに暮らせる時代になる。
無理に金を稼ごうと焦れば焦るほど負のスパイラルにハマる。
行き過ぎた時代からの転換は、規模を拡大した時代から小さくても強くてゆとりある幸せな暮らしへの移行だと思う。

素晴らしい仲間に囲まれて、この大変動時代を乗り切っていきたい。