あったらいいのに

ハーレーに乗って天然村へ向かった。
慣れない高速道路を使ってアクアラインのトンネルを抜けると、
横から海風が強くバランスを取るのが大変だった。
何とか通過したが、ハーレーの場合姿勢がほぼ直角なので
時速100キロを超えると風が強く当たり、風圧でスピード感を
楽しむ事が出来なくなる。
このバイクはゆったりツーリングを楽しみ、景色や、風、空気を
その土地土地で感じて楽しむためにあるようだ。

私はどちらかと言うとスピードを楽しむ方が好きである。
初心者で技術も無いが、やはりスピード感が楽しめないと
性格的に飽きてしまうようである。
既に私の感心はハーレーよりもイタリアのバイクに移っている。
乗りやすく、スピードも出て、カッコいいバイクがあると友人が教えてくれた。
天然村の村長もバイク好きで詳しい。
彼もイタリアバイクを熟知していた。
南房総の千倉にハーレー大好きなご主人が、ピザ屋を
やっているから一緒に行こうとなった。
彼を後ろに乗せ初の2人乗りをやったが、最初のうちはバランスを
何度か失って、エンストはするし、バイクを倒すし、フラフラであった。
特に信号で止まる時と発車する時に危なくなる。
彼もハラハラだったと思うが何とか店まで到着した。

店内に入ると、アメリカンテイストな感じが全体に広がっていた。
ご主人と奥様のバイクが店内に飾られていて、ヘルメットもたくさんあった。
おまけに工具類が何十種類と壁掛けにあったりで、かなりマニアックな感じだった。
ハーレーの本もたくさんあって、ここは休日ともなると都心部から
ツーリングでハーレー好きの連中が集まってくるそうだ。
ご主人曰く、自身の手でいじるのが好きで、自分でカスタマイズもするようである。
こんな感じでバイクが好きな人は凝り性のようだ。
私のようにスピードだけに感心があるバイク乗りもきっと珍しいのかも知れない。
しかし、自分の趣味を通じて「あったらいいのに」この感覚がビジネスに繋がる感が私にはある。
ピザ屋のご主人と話をしていても、店内を見ても非常に参考になる。
一人のユーザーとしての純粋な目線から考えて見ると、あったら便利だとか、
嬉しいとか、そんな感覚が新たなビジネスを生み出す気がしている。

見極め

見極めをもらった。
随分と懐かしい言葉である。
18で車の免許を取得した際に教習所でこの見極めをもらって以来の響きであった。
暑さの続いた約二ヵ月、ようやく大型二輪の見極めをもらって教習所を卒業できたのだ。

見極める検定試験当日の受験者は大型二輪で私を含む3名であった。
走行順位は私が二番目で、一番がいかにもライダー風な30後半の男性で、
三番目が体力、技術に自信がなさそうな60前半の男性だった。
やはり検定当日は緊張する。
今日が最後にしたいと言う思いと、落ちたくない気持ちが錯綜する。
本番に強いタイプと弱いタイプがあると思うが、私はどちらかと言えば本番で失敗して
やり直しする経験はほとんど無かった。
数日前からイメージする念の入れようで、走行するコースをイメージしながら見極めを
もらっている自分をイメージをしていた。

しかし、当日の一番手のライダー風の男が最初のクランクでパイロンを倒して失格になった。
彼ほどの男が日常では絶対にしない失敗をしでかしたのだ。
恐らく緊張で体が硬くなったのだろう。
普段通りの力どころか、教習中では一度も失敗の無い経験を本番でしてしまう。

私の脳裏にもそのイメージが突然と入り込んでしまったかのようだった。
実際に私が最初のクランクではいつもの自分とは違っていた。
一瞬ヤバイと思ったが、気を取り直し瞬間的に巻き返したので無事通過出来た。
三番目の男性も見ていて明らかに最初のクランクで失敗するかに見えたが何とかクリアした。
やはり、一番手の男性の失敗が脳裏によぎってしまうのだろう。
結果から見ると、本番に強い三番手、本番に弱い一番手とタイプに分かれた。

翌日にハーレーの納車があった。
私は喜び勇んでバイクにまたがった。
その瞬間、右足ふくらはぎに激痛が走った。
マフラーに足が触れて火傷を負ってしまったのだ。
私は短パンだったのだ。
痛くて納車の喜びが何処かに飛んでしまった。
おまけに、車体が長いので車庫に入れるのも一苦労、扱い慣れてないので車体を倒しそうになる始末。
トロッコが坂道から転がり落ちるような、ほうほうのていの有様だった。

ラスベガスへの旅

全米から集まる、年に一度の祭典に参加してきた。
それは米国にSSAというストレージ協会があっていわゆる収納トランクルームである。
日本にもJSSAのストレージ協会があり、今回私を含めて理事が中心となり、ラスベガス
でのビジネスミーティングに参加した。
彼らは朝早くからミーティングの習慣があるらしく、8時に第一回目、10時から二回目と
言った具合に始まる。
JSSA側の参加者8名に対して米国SSA側の参加者12名と通訳を介して現状や課題、
新たな取り組み等を意見交換しあうなど、収穫の大きいミーティングとなった。
彼らは専門分野のエキスパートが提携しながらチームを組んでいるので、非常に自信
あるプレゼンテーションだった。
特にマーケティングには力を入れていてシステマチックな構造になっているのが印象的だった。

6日間の日程だったが、ミーティングを中心に現地視察、展示会等に参加して毎日朝と
夜は仲間同士のブレストがあったりするので、一日があっという間に過ぎて行く。
おまけに時差ぼけが手伝って、寝るに寝れない夜もあったりする。
私の場合はカジノが好きなので、夜のミーティングが終わる11時頃からブラックジャック
のテーブルにつく。
そんなんで、尚更に寝不足の状態が続いていた。

ラスベガスのカジノは必ずホテルの一階にある。昼間の客はおっとりとしたアメリカ人が
多いが、夜になるとエキサイティングなアメリカ人や中国人が大きく貼ってくるのでとても面白い。
酒を飲みながら同じテーブルの連中と呼吸を合わせて、ディーラーとの勝負が繰り返される。
私はどちらかと言うと、同じテーブルの連中は気にせずディーラーの勝負運をじっと観察している。
向こうが少し落ちてきた所を見計らい勝負に出る。
テーブルの連中を観察するのも非常に面白い。
中には私の判断に憤慨して目も合わせてくれないやつもいたり、迷ったあげく私に判断を
仰ぐ者がいたり、一緒になって喜び叫ぶやつもいたり、勝負に拘らずブラックジャックは大好きなゲームである。
つい夢中になって朝までやってしまい、シャワーを浴びてそのままミーティングに参加する日もあった。
ラスベガスは興奮冷め止まないところだった。

帰りはロスに戻り、現場視察を兼ねてビバリーヒルズを見てから、サンタモニカの海岸線で
ステーキを食べたり観光してきた。
やはり現地に行って見て会って、というプロセスが本当に大切なんだと痛感した今回のラスベガスの旅であった。

聞こえない

教習所に通い始めて一ヶ月が過ぎた。
ようやく通過点の中型を取得したが、教官によって教え方が違うので
こちら側からすると、捉える観点がいくつかあるので掴みやすいのだ。
例えば、バイクを立ちながらゆっくりと凸凹を通過する練習があるのだが、
教官によってクラッチとアクセルの使い方を色んな角度から教えてくれる。
人によっては捉える観点が違うし掴むポイントも変わってくるので、
毎回違う教官に習う仕組みは素晴らしいと思った。

一度こんな事があった。
教え方は上手いし技術も凄腕の教官がいるのだが、冗談の一つも言わない
無愛想な若手にレッスンを受けた時があった。
レッスンの前に説明があるのだが、彼の説明に対して私は深くうなずき、
自信をもった在り方で聞いていた。実際にやって見ると違う事をするので
教官は私を呼び止めこう言った。

あなたは私の説明を自信ありげにうなずいていたが、本当に人の話を聞いていないんだな…

彼は苦笑いをしながら言った。
私の本質は人の話を聞かない、いや聞こえないと表現した方がいいだろう。
聞かないとは相手の話を理解した上であえて聞かない選択をするのだが、
私の場合は相手の話の内容が入ってこない、故に聞こえないという表現になる。
なぜそんな事になるのか、翻って考えて見ると相手が私に説明している時に
違う事を考えている場合が多いようだ。勿論、全部がそうではないが部分的に
自分の世界に入るので、抜けてしまう事がしばしばある。
今回のケースも教官が説明している時に私はどうだったか。
明らかに説明を割愛して聞いているのだ。割愛とは説明する方の言い分だが、
私の場合は逆をやってしまっている。

説明よりも早く実践してやって見ないと解らないだろうが…

こんな思考の時に肝心な事が抜けるようだ。
あるいは全く別な事を考えている場合もあったりする。
無意識に深いうなずきをしているが、聞こえていないのである。
私が深いうなずきをする時は聞いていないとよく言われる。
今に始まった事ではないので、簡単に治るとは思えないが、今度
傾聴セミナーのお誘いがあるので参加してみるつもりである。