正月のマグロの初競りで1億5000万円を超える金額で有名になった、
すしざんまいの木村社長に会う機会があった。
飾らない人柄で商売が上手い人だなと感じた。
まず私は店に行ったことがないし、回転ずしと思い込んでいたので、
正直、さほど興味がなかった。毎年競りで価格が上がって大変としか写らなかったのだ。
しかし、結果を見てみるとPR効果がとんでもない事になっている。
マスコミの影響もあって、木村さん自ら役者を演じるマグロ解体ショーはテレビでもお馴染みに
なってしまった。
私は翌日、新橋のSL広場前のオープンしたばかりのすしざんまいに行ってみた。
夜9時を過ぎていたが、広い店内は満席で入れ替わりに賑わっていた。
店内は大型テレビ画面に、木村さんが出演した番組が映し出されていた。
大きな水槽に鯛やヒラメの活魚が新鮮さを演出している。
一方で内装やテーブル、食器類は一切金をかけておらず、いわゆる鮨屋とは対極的な感じだ。
大トロ一貫398円だったので食べてみたが想像以上に美味かった。
おそらく鮨屋で倍以上はする値段にはなるだろう。
いったいどんなきっかけですし屋を始めたのか聞いてみたが、カラオケやらモーテルを
やってきたが、あるきっかけで水産会社に勤めることになり、そこで絶大な信用を得ることで
築地で1号店を始めるきっかけになったと言う。
しかし、オープンから半年近くは全く誰も来なかったらしい。
どんな事があっても諦めないことを信条としている彼は手を打った。
近所の鮨屋との違いを作るために、まずは24時間営業に切り替えた。
銀座のママ達に協力を得て、店が始まる前の時間と終わった後に利用してもらうことで
認知度が広がり、築地に顔が利くのでネタも豊富でいいものが手に入る、都心部に
出店を重ねて24時間営業を売りに現在は50店舗を超えるまでになった。
PR効果が絶大なために、海外からの来店も急増しているらしく、
ロシアやフランスの要人も、ちょこちょこ利用するそうだ。
しかし、実際の商いの規模からすると、認知度が大きく先行している感が否めない程に
なっているのがPRの凄いところである。
初競りで大枚を叩いてもお釣りがくるだろう。
解っていればの話だが、なかなか出来ることではない。
先見力と度胸が兼ね備わっている。
すし文化で日本を元気にするという使命が強くあって、それは店内のスタッフの在り方に
移植されているように感じた。