俺のシリーズ

行列が出来る店の定番になっている「俺のシリーズ」

初めて見たのが、銀座にある俺のイタリアンだった。
行列をなしていて、あれは何なのか!
強烈なインパクトで、目を引いたのを今でもはっきりと覚えている。

しかし、行列に並ぶのも嫌だし、立ち食いなので何としても行って見たいとは思わなかった。

ある日、本屋で俺のシリーズの創業者S氏が書いた本を手に取った。
この事業を始める前に街を歩きながら、色々な店を観察しながら食べ歩きをした結果、賑わっている店は立ち飲み屋とミシュラン三ツ星レストランだったという。

それを組み合わせればいいじゃないか、一流シェフが提供する料理を立ち飲み形式でやる。
こんな発想をしたのだ。

しかし、もっと凄いのは、それを仕組化したことだろう。
難易度が高いのは、シェフを巻き込む仕事だろう。
何と言っても立ち飲み形式である。
彼らのプライドがそれを許容出来るだろうか、あるいは採算が合うはずがないとか、出来ない理由をあげればたくさんあるからだ。

それを突破した要素を実際に垣間見る事が出来た。

先日、赤坂見附駅前に俺のフレンチ、イタリアがオープンしたのだ。
実はオープン前から内装工事をやっている時に知っていたのだか、立地は抜群に目立つ場所で、しかも広くこれまでの店でも一番家賃が高いと思われる。
私の見立てだと、月500万位はするだろう。

昼の時間は14時まで、16時から23時まで一人2時間制限のシステム、一日四回転する計算だ。今は日曜日は休みだが、近日中に無休にするオペレーションが仕上がるそうだ。

昼飯を食べずに友人と2人で16時から店に入った。
ここは店が広いので、この時間なら直ぐに入れるだろうとの思惑があたった。

最初に驚いたのが、ホールスタッフのおもてなしだった。
メニューの紹介やオススメの料理をさりげなく伝える姿は、立ち飲みのラフな雰囲気の店内とのギャップを感じて新鮮な印象を受けた。

次に衝撃だったのが、平日の17時には広い店内が満席になり、ワインを片手に会話で盛り上がるカップルや女性グループ、会社員も2人で来ていたり、学生らしきグループ、一人客と、おしなべて女性が圧倒的に多かったが、この時間帯に賑わっている光景が凄まじく強烈な印象だった。

実際に食して見ると、さすがに一流シェフが提起する料理で、おまけに食材の品質が極めて高い。
これなら行列が出来ると納得した。
特にオマール海老と鴨の料理は素材が抜群のうえ、味付けが絶妙で何度も食べたくなる位の品だった。
最後に食べたピサのビスマルクは絶品で、次の機会には必ず注文しようと思っている。

そんな中で観察したのは、キッチン周りのシェフを含むスタッフ達が、自ら振る舞う料理が目の前で次から次へと注文が入り、満面の笑みを浮かべるお客様を遠目に見ながら、仕事が出来る環境ならば自然に気持ちは高ぶるだろう。
究極に忙しいだろうが、一流ホテルの厨房では絶対に体感することはない、感動がそこにはあるのだろう。
シェフが主役となり、ホールスタッフの楽しく仕事をやっている姿を見て、ブックオフの創業者でもあるS氏が創り出す世界に共鳴した。

「人のために最高の料理を低価格で提起し、たくさん賑わう事で、人も喜び自分も喜ぶ」

友人と息子

友人と電話で話をしていると、彼の息子の話題になった。
大学3年の息子R君は不動産業界に興味があり、大手を含めて数社選考途中にあるという。

私はそれを聞いて、それならイコムに来ればいいじゃないか、一度会社説明会に来てじっくり話を聞いて見るように促した。

R君とは彼がまだ中学一年生位の時に友人の自宅で初めて会った。
彼は当時サッカーをやっていて、毎日部活をしながら学力も優秀な成績だった記憶がある。
家族ぐるみでの付き合いだったので、R君も私が不動産業界で仕事をしていることも、当然知っていたので、イコムの就職サイトも何となく意識はしていたらしいが、父親との関係ある会社に対してはやはり考慮があったそうだ。

有楽町の国際フォーラムで会社説明会をやる日程が決まっていたので、それに参加してみるように友人を介して伝えていた。

R君の性格は父親とは全く逆で、真面目で、コツコツ、続ける、小さな努力を積み重ねる事が出来ると私は見ていた。

友人は昔の同僚や友人を私に紹介してくれていた。
今は彼の事を知らないスタッフも大分増えたけど、7年前位に彼を介して入社した人達が今は主力となり、会社を牽引してくれている逸材に育っている。
本当に友人には感謝している。
そして、意義深い縁を感じている。

以前、友人が一緒に仕事をしたいとの話があった時には、丁重にお断りした事があった。
それが、時を経て息子と一緒に仕事をすることになるとは、本当に不思議な縁を感じる。

当社の役員もその一人で、友人とは前職で上司にあたり、その縁あって現在に至っている。

当時は友人の自宅に遊びに行った際にR君とも会っているが小学校だったので、本人は記憶がないらしい。

R君は会社説明会を聞き、役員との面談を経た結果、入社する意向を示した。

こちらから、ゴリゴリやるつもりはなかった。
友人から後押ししてもらう事もなかった。
本人が自然に感じた結果のように思う。

R君は父親を尊敬していると言っていた。

私も友人を尊敬している。

出版業界

本の出版にあたり、幻冬舎さんから会食に招かれた。

丸ビル35階のイタリアンレストランに着いた。
約束の時間より少し早めに着いたので、予約名を店員さんに告げたところ、
幻冬舎さまで二席の予約が入っていると言われた。

私は先に席に着いて待ちながら考えていた。
きっと、幻冬舎御用達の店なのだろう。
出版を祝う席として、編集担当者と上司が一緒に同席する習わしになっているに違いないと。
本日も私と同じような立場の方が招かれているようである。

私としては、その心遣いは嬉しいし、本のタイトルから始まりコンテンツに至るまでは、
編集担当者のZ氏には度々無理な要求をしたり、実際に天然村に来て田植えを体験したりと、
出版までの苦労話しを上司を交えてシェア出来る良い機会でもある。

三人で食事をしている最中、突然Z氏の口から意外な言葉が発せられた。
今月末で退職すると言うのだ。

今回の書籍が間に合って本当に良かったと本人は言うが、いつ頃から決めていたのか伺った。
昨年の10月位には上司に相談していたらしい。

今までの彼の仕事ぶりからは、全くそのような気配も感じられなかったので正直驚いた。
天然村に来た時も皆で食事をして寝る時間になっても、パソコンと向かい合いながら仕事をしている姿を見かけた事もあった。
非常に熱心に仕事に取り組む方だった。
出版業界特有の長時間労働を目の当たりにして感心した一方で、期間や時間との関わり方が他の仕事に比べるとかなりタイトなスケジュールに大変な想いを抱いていた。

そんなZ氏は独立をして編集の仕事をするそうだ。
業界的にはヨコの繋がりで、仕事が出来る人は比較的順調にスタートできるようだ。

同席している上司の方も全く休みなく仕事をしていると言うのだ。
元旦から部下にメールを送ってくるようである。
何でそんなに仕事をするのかを聞いてみると、自然とそうなってしまうらしい。
40前半になる彼は書籍の出版に命をかけているかのようである。

今回の会食と同じような席を月に2回はやると言う。
やはり、場所はこのレストランでやるらしい。
メニューも同じらしいので、食べ慣れている感じがしている。
一人1万円位のコースだから、わりと使いやすいのだろう。

それにしても、出版業界とは締め切りに追われると言うが、仕事量そのものが、膨大になっている感は否めない。
仕事量をやり切る時期は大切だと思うが、365日休みなく仕事一徹人生というのは、あまりにもバランスを欠いていると思った。

人間力ある若者

非常に可能性を感じる若者三人が天然村を訪れた。
その中のG君とは先週友人の紹介で会ったばかりだった。
会ったその日から、ビジネスの話が弾んであっという間の時間であった。

G君は長野県飯山から車で約6時間かけて来てくれた。
彼は農業を営みながら農家民宿を経営している。
人間力があり、志しが高く、人を惹きつける力がある。
今は現実現場を体験しているが、あくまでも通過点に過ぎないのだ。

三人とも本業を持っているが、NPO法人としての共通の仲間である。
また、慶応大学SFCの仲間でもあり、G君が27歳で代表を務め、あと2人は前後一歳と後輩先輩の関係である。

今回天然村を訪れたのは、農業をテクノロジーと結合するテストランを行い、データによる検証を行う目的である。
メンバーの一人が慶応大学の特任助教で、テクノロジーの分野に関しては幅広い見識の持ち主である。
話しをしていても、質問は全て明確に答えるし、ある障壁があると話せば、それを解決する術を教えてくれる。
実に頼もしい若者チームである。

現場を視察した後に私と村長を含むミィーティングが行われた。

天然村では、都市部のレストランからのオファーがあり、天然村の農地を活用して、レストランでの食材として活用したいとの話がある。
これを遠隔で畑作業が可能になる仕組みを開発する。
例えば、水をどの位どのタイミングで散布すると生育が良いのか、または野菜のどの部分に栄養が行き渡っていないのか、これらが遠隔で見られて操作も可能になる。
また、都市部でのレンタルファームもこのシステムを導入する。

夜は里山の中にある地元食堂で、酒を飲みながら未来の話に花が咲いた。
メンバーの一人にラオスで環境ビジネスを体験していて、来年にはラオスに日本の農業技術を
輸出して、現地法人を作る算段をしているらしい。
また、将来は人口衛星を開発して宇宙事業も手掛けたいと夢を語ってくれた。

彼らは知恵と経験、そしてテクノロジーを融合させて、全く新しい技術を社会に役立てたいと言う理念がある。

G君を中心に人間力のある若者チームならば、必ず事を成すであろう。

私は株があったら買いたい。

彼に告げると、家に来て下さればいつでも蕪は差し上げますと、一本取られてしまった(笑)

格闘家

明らかにスタミナがなくなっていた。

防戦一方の試合展開に、私の周りの同志達は起死回生の逆転劇を
最後まで期待して応援していた。

私が通っている目黒にある総合格闘技のジムがある。
そこのオーナーM氏がプロの格闘家なのだ。
約一年の怪我のブランクを経て、韓国の若手と対戦した。

大田区体育館ではM氏の試合の他、6試合が行われた。
M氏は三番目の試合だったが、ジムの同志達は開場時間と共にみんな揃っていた。

私を除いてみんな格闘技が詳しく、テレビ観戦は勿論、こうやって体育館やスタジアムに
足を運んで試合観戦に訪れている。

外見からは格闘技をやっているなんて、全く察することが出来ない連中ばかりである。
帽子をかぶっていたり、普通の格好をしている姿を見ていると、逆に弱々しくも感じてしまう。

間違って喧嘩をするような場面を勝手に想像すると笑ってしまう。
見かけは、なめられる感じなので、言いがかりをつけられたりする。

例えば、ダンプの前にやや強引に車線変更をしたら、相手が凄い形相で怒鳴り追ってきて、窓から直ぐ車を止めろと叫んだとする。

格闘家はむやみに喧嘩はしないので、恐いふりをしておどおどして車を停めて外に出る。
すると、相手は更に傲慢になって度付いて胸ぐらを掴み、ふざけるなと叫び体を揺らす。

ここまでは格闘家は我慢する。

しかし、ダンプの奴が殴りかかったら最後である。
素人のパンチなんざぁハエが止まる位に遅く見えるそうだ。
スッとよけると同時にボディに一発入れておしまいだ。

ジムに来ている連中は、おしなべて言えば、性格も優しくて人が良いのだ。
一方で、ビジネスをガッチリやっている感は乏しく、金儲けのセンスは全く見られない。

ただ、純粋に格闘技というスポーツを愛してるのだ。私を除いてみんなそう。

私は身体を柔らかくするのと、身体を絞るための目的なので、格闘技そのものに興味はない。
ただ、スパーリングで上達が多少でも感じられると嬉しくなる。
もっと上手になろうと向上心が湧いてくる。
技術やスピードを高める目的が持てたりする。

しかし、プロになると話が全然違ってくる。
減量の他に厳しいトレーニングを重ねなくてはならない。
おまけに、怪我がつきまとう商売である。
ファイトマネーだって、聞いたら驚くような安い金額だし、生計を立てるのには副業がないと
難しいだろう。

私だったら絶対に選択しない。
こんなに割に合わない商売はないと思うからだ。
毎月利益が積み上がる商売とは対極的な世界である。

M氏は同志達の声援の中、終始劣勢を強いられていたが、KO負けはしなかった。
しかし、顔面は腫れあがり、出血もあって満身創痍だった。

自身の未熟さに更なる決意を宿したようだ。
格闘家の闘魂なのだろう。

見切り千両の世界にいる私には到底理解出来ない世界が格闘界である。