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社長ブログ2014.03.02

格闘家

明らかにスタミナがなくなっていた。

防戦一方の試合展開に、私の周りの同志達は起死回生の逆転劇を
最後まで期待して応援していた。

私が通っている目黒にある総合格闘技のジムがある。
そこのオーナーM氏がプロの格闘家なのだ。
約一年の怪我のブランクを経て、韓国の若手と対戦した。

大田区体育館ではM氏の試合の他、6試合が行われた。
M氏は三番目の試合だったが、ジムの同志達は開場時間と共にみんな揃っていた。

私を除いてみんな格闘技が詳しく、テレビ観戦は勿論、こうやって体育館やスタジアムに
足を運んで試合観戦に訪れている。

外見からは格闘技をやっているなんて、全く察することが出来ない連中ばかりである。
帽子をかぶっていたり、普通の格好をしている姿を見ていると、逆に弱々しくも感じてしまう。

間違って喧嘩をするような場面を勝手に想像すると笑ってしまう。
見かけは、なめられる感じなので、言いがかりをつけられたりする。

例えば、ダンプの前にやや強引に車線変更をしたら、相手が凄い形相で怒鳴り追ってきて、窓から直ぐ車を止めろと叫んだとする。

格闘家はむやみに喧嘩はしないので、恐いふりをしておどおどして車を停めて外に出る。
すると、相手は更に傲慢になって度付いて胸ぐらを掴み、ふざけるなと叫び体を揺らす。

ここまでは格闘家は我慢する。

しかし、ダンプの奴が殴りかかったら最後である。
素人のパンチなんざぁハエが止まる位に遅く見えるそうだ。
スッとよけると同時にボディに一発入れておしまいだ。

ジムに来ている連中は、おしなべて言えば、性格も優しくて人が良いのだ。
一方で、ビジネスをガッチリやっている感は乏しく、金儲けのセンスは全く見られない。

ただ、純粋に格闘技というスポーツを愛してるのだ。私を除いてみんなそう。

私は身体を柔らかくするのと、身体を絞るための目的なので、格闘技そのものに興味はない。
ただ、スパーリングで上達が多少でも感じられると嬉しくなる。
もっと上手になろうと向上心が湧いてくる。
技術やスピードを高める目的が持てたりする。

しかし、プロになると話が全然違ってくる。
減量の他に厳しいトレーニングを重ねなくてはならない。
おまけに、怪我がつきまとう商売である。
ファイトマネーだって、聞いたら驚くような安い金額だし、生計を立てるのには副業がないと
難しいだろう。

私だったら絶対に選択しない。
こんなに割に合わない商売はないと思うからだ。
毎月利益が積み上がる商売とは対極的な世界である。

M氏は同志達の声援の中、終始劣勢を強いられていたが、KO負けはしなかった。
しかし、顔面は腫れあがり、出血もあって満身創痍だった。

自身の未熟さに更なる決意を宿したようだ。
格闘家の闘魂なのだろう。

見切り千両の世界にいる私には到底理解出来ない世界が格闘界である。

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