変な家族

長男が南アフリカの旅に出て4ヶ月が経つ。

向こうで20歳の誕生日を過ごし、黒人に恐喝されて手持ち現金と携帯電話を奪われてからは、PCからFacebookでのやり取りが、唯一彼とコミニケーションを取る手段となった。

ケープタウンの日本食レストランで住込みとして働きながら過ごしているが、直面している問題についてのメールがあった。

それは、端的に言うと資金とビザの問題だった。

南アフリカでは、一年に三ヶ月までしかビザを出さないらしい。
なので、越境を繰り返しても延べ滞在期間として通算される為、残りが16日になってしまったと言う。
結局、越境を繰り返せば定職につくこと叶わず、金もかかるし稼ぎも出来ない状態になる。

そんな状況で、このままでは不法滞在になるし、2年間の片道切符で来たように、ここでおいそれと日本にも戻る訳にも行かず、どうしたらいいだろうと訴えて来た。
まさに、王手飛車取り状態になっている。

私は不法滞在を続けて旅をするように助言しようと思ったが、彼の性格からすると難しいだろうと思った。
しかし、資金を提供すれば彼の為にならないし、失敗もいい経験だから、一度日本に帰って次を考えようと返信した。
そして、失敗の要因が何か検証して、次に活かすようにと付け加えた。

次男だったら、不法滞在でも続行出来る性分だか、長男は慎重かつ繊細なので、帰国するように言ったのだ。

一方で、その次男からもフィリピンよりメールが届いた。
彼は中学を卒業して、現地入りしてから7ヶ月が経つ。
今は英会話スクール「FFIERY」でインターンとして働かせてもらっている。

それが、インターンの友人とタバコを吸っているのが、バレて一人の友人がクビになって学校を出て行ってしまった、俺は何故かクビにならなかったが、学長からはお前が出て行くならそれでもいいと言われてしまったが、どうしたらいいだろうとのメッセージだった。

「お前はそこを絶対に離れるな、学長の温情だと思って、この先は中途半端な事はせずに、学長の役に立つ事を考えて行動しろ、そうすれば必ず道は開ける」

このようなメッセージを伝えた。

まぁ、2人とも海外の生活が続くと色々と問題はあるが、何とか乗り越えてもらいたいものだ。

次女は相変わらずの不登校に加え、妻とはよく会話はするが、私とはすっかりコミニケーションがなくなってしまった。
こちらから話しかけても無視される始末、おまけに同じ空間に居たくないらしく、最近は姿を見なくなってしまった。

長女は相変わらず金欠病で、何かと言うと資金請求がやってくる。
あまりしつこいので、少し頭を冷やせと言ってやった。

こんな感じで子供達はバラバラな生活を送っているのも、よく考えたら変な家族である。

しかし、個性を活かしてそれぞれの道で直面しながら、ハラハラする人生も自らの肥やしとなって未来の人生を切り開く糧となるだろう。

よく食べる男

すっぽん料理の締めに納豆うどんを食べた。

すっぽんの出汁に納豆を混ぜる、珍しい料理は初めてのチャレンジだったが、やや辛口の汁と納豆が絶妙にマッチしていて美味しかった。

浅草観音裏にある「魚がし」は老舗でフグがメインの店だ。

その後、バーで軽く飲もうと思いきや、一緒にいたK氏はいきなり言い放った。

餃子が食べたいと。

魚がしの店主にこの辺りで美味い餃子を食べさせる店を訪ねると、道を挟んだすぐ近くの中華店を紹介してくれた。

もう一人のM氏は食事を意図的に制限している最中だったが、店に入り三人で餃子3皿に腸詰をつまみに加えて、レモンサワーを注文した。

すっぽんの店主が紹介するだけの餃子であって、一つが小粒ながら薄皮でパリッと美味かった。
するとK氏は餃子4皿を追加注文した。
それもペロッと平らげた上にチャーハンを注文したのだ。

私はあまりの食欲に驚愕してしまった。

すっぽん鍋を食した後にアフターで中華店へ、締めが餃子にチャーハンなんて、聞いた事がない。

一方で、M氏は終始抑え気味に徹していた。
本来はK氏と互角、いやそれ以上の大食漢である。

しかし、背に腹は変えられず、既に糖尿病が要因して、目にきているのだ。
散々やりたい放題やってきたツケが回ってきたのだ。

彼の本来の実力ならば、あの中華店を出てから焼肉を食べるくらいは朝飯前だっただろう。

あれから一月後に三人でランチをした。

神保町にある中華料理店「新世界菜館」が舞台となった。

ここの餃子は一つが大きく、もっちり感ある皮にジューシーな肉汁に定評がある。
これを6個に、中華丼大盛りは私とM氏が注文し、K氏は上海焼きそばの大盛りを注文した。

私とK氏が大盛りを注文したので、M氏は抑え切る事叶わず、しかも早々と完食。
一方で、私はかなりの量にほとほと参っていた。
結局、3分の1を残してギブアップしてしまった。

すると、K氏はすかさず私の方へ目を向けると、私が残した中華丼を食べたいと申し出ると、あっという間に完食してしまった。

K氏は飯を食べている時、普段仕事で見せる事のない表情を現す。
子供が腹が減って美味しい晩御飯にありつけた時のような、純粋無垢な満面な笑顔でムシャムシャ食べる姿は、見ていて気持ちがいい。

でも、飯がたくさん食べられる事は決してマイナス要因だけではないだろう。
M氏のような病の方は別にしても、その分、運動でカバーするなど、バランスを取れば年を重ねるごとに食欲が減退することを考えれば、K氏のような満面な笑みを浮かべながら食べる食事は一緒にいても清々しい感じを受ける。

るろうに剣心

るろうに剣心が映画化されて、一回目を見たら非常に中途半端に終わってしまい、二回目の続きを心待ちにしていた。

しかし、残念な事に見事期待を裏切ってくれた。
一回目の盛り上がりから比べると、今回はまったくつまらなかった。

そもそも、よくあの漫画を映画化したと思ったが、漫画に出てくる人物イメージと俳優のギャップをいかに埋める事が出来るか、ここが一番の勘所だと思ったが、主人公の剣心役を佐藤健が演じている。
彼はかなり上手にやっていたと思う。
迫力感ある演技をしていて非常に良かった。

一方で、悪玉の親分である志々雄役を藤原竜也が演じていたが、これは正直いただけなかった。
もっと悪役が似合うキャスティングで、声も漫画の声優に近い感じのトーンを出して欲しかった。

まぁ、漫画をそのまま映画にする、例えばコナンのような映画版のストーリーを新しく制作する方がコストもかからず、リスクが少ないように思うのだが、どうなのだろうか。

個人的には漫画のるろうに剣心が大好きで、宗次郎の縮地という技がお気に入りだったが、映画のシーンでは残念ながら出てこなかった。
というか、表現が実現不可能は明らか。

この実現不可能だから漫画は楽しいのだ。
とんでもない、現実離れしたシーンがあるからこそ漫画なのであり、そもそもこれをキャスティングして映画化する方が土台無理な話しなのだ。

例えば、ワンピースだって、ドフラミンゴが空を飛びながら糸を繰り出して、街を壊すシーンにしてもそうだし、シュガーが人間をおもちゃにするシーンや、クザンのアイスバーンであたり一面を氷らせることだって、もし映画化したらキャストが演じるのはもはや実現不可能なのである。

この夢のような物語を映画化することで興醒めしてしまう。

ルパンも小栗旬がやっているようだが、どうなのだろうか。
やはり、期待が高くなる分、お客様が満足するには難しいだろう。

やはり、漫画は漫画のままで映画化して欲しいものである。

それと、映画を見ながらポップコーンをむしゃむしゃ食べる、あの音も何とかならないものかと。
A型の私としては気になってしまう。

アクアポニックス

天然村を媒体にK氏と初めて会ったのが、今年の7月31日、鴨川の海辺にあるオーガニックレストランだった。
アフリカと日本のハーフの彼は東京で生まれたが、学生生活は大学を含めてイギリスだった。
その後シリコンバレーで映画関係の会社を起業し、バイアウトして日本に一時帰国するも3:11に遭遇して、これからの生き方を見直すきっかけになったと言う。

彼と話して印象に残った言葉が、循環型社会とオーガニックだった。

循環型とは低エネルギー消費生活、オーガニックと掛け合わせるとロハスになる。
ロハスとは天然村の原点にあたり、健康で持続可能性のあるライフスタイルだ。

もう一つ、アクアポニックスである。
これが循環型の小世界を意味する商品でヨーロッパ、特にドイツで実用化されている商品である。
魚と野菜をそれぞれ別にして、水槽の中にいる魚が排出する固形廃棄物が植物の栄養になり、自然発生する微生物が魚の栄養になる、魚と野菜を同時に育てる再循環型システムである。

これが天然村のコンセプトと一致する事で、色んな可能があることを示唆してくれた。
ただいま、天然村で試作品を作っていて、年内に様々なデータ取りが行われる。

彼の父親の故郷、アフリカのタンザニアに訪れた際に、貧困で食料不足の事情があると思い込んでいたが、現実を見た彼は衝撃を受けたそうだ。
現実は果物の樹木が数多くあり、地面には幾つもの果物が木から落ちていたという。

なぜ、これだけ豊富な果物があるのに人々は貧困なのか、彼は不思議に感じて実態を知るべく、調べてみるとある経済システムが浮き彫りになった。

隣の地域で果物を加工、商品化したものを仕入れている構造になっている。
タンザニアには資源が豊富に存在しているが、これを地域で商品化しないので、この現実に何の疑問を持つ事なく、貧困の生活から脱却出来ずにいる事にギャップを感じたと言う。

このような事は国内の地方でも多くの実例が見られる。
農家が生産した農産物の流通の構造が同じである。

K氏は自ら農業を生業としている。
年度初めに農業委員会との話し合いの場があるそうだ。
予め決められた品種の中から、生産量と販売価格を割り出し、そこから肥料等の諸経費を差し引いて実収入を算出している。

新しい品種のチャレンジや、消費者に直接販売するルートを構築するような試みも一蹴されるようだ。

要するに農業の構造が何らタンザニアと変わらないのである。

このギャップを何とかしたい。

彼は力強く言い放った。

そして、起業家の経歴を持つ彼は壮大なヴィジョンを持っていた。

世界を視野にギャップのある地域に貢献したいと。

来年彼と一緒に農業生産法人を設立する。

それぞれの夢を実現させる為にアクアポニックスを突破口に天然村が新たなステージに進む。