近いところに成功なし

昨年来にマレーシアを訪れた。
投資の案件で現地法人が約束を履行しないばかりか、預けていた資産を使い込んでしまったようで、今後の対応を確かめることが目的だった。

クアラルンプールに到着するとヘイズの影響で灰色の空が広がっていた。
数週間前まではもっとひどかったらしく、環境を破壊しながら進める都市化もここまでくると地球規模で危機を感じてしまう。

翌日には先方からの状況説明があり彼らのオフィスに向かった。
私の他にも10名ほどの日本人がいらしていた。
通訳を介した説明があったが、彼らの様子を観察しているとそのギャップを埋め難く、額面通り受け取る訳には行かなかった。

その日は時間の関係で途中で終わってしまい、2日後に質疑応答を含めた場がセットされた。

話しを煮詰めていくと彼らの法人は清算する手続きに入っているとのこと。
つまり、店じまいすると言っているのだ。
従って、全てはパーになる。
しかし、彼らはそのままおじゃんにする気はなく代替案を出してきた。

私はその案はまったく期待していない。
投資の損失ならいざ知らず、預けていた資産を使い込んでパーになりました。
次はこの案で何とかしますからと説明されても納得出来るものではない。

翻って考えれば、投資効率がよくリスクの少ないものなど存在するはずもなく、国がバックアップしているから安心して投資を促すようなふれこみも、そもそも鵜呑みにする方が悪いのだ。

要するに近いところに結果を求めたツケということになる。
ビジネスも投資も近いところには大きな運も成功もないのを知っていながら、その罠にハマってしまった自分を恥じている。

特に顕著なのが私どもの扱う不動産だ。
近いところで商売すると必ず失敗する。
近くのリターンよりも遠くのリターンを得る方が絶対に永続的に成功するのだ。

今回セットしていただいた現地の日本人の方にせっかくの機会ということで、近くのランカウイ島に案内してもらった。

高温多湿な環境ながらも、ジャングルの中にあるホテルへ案内された時にはそのスケールの大きさに感激した。
もはや、大自然の中にあるオアシスと言った感じで、ハワイやサンフランシスコで見るようなビーチからのアングルとは一線を画している。

このホテルはジャングルをむやみに破壊することなく、森と共生するように作られているので、部屋にいながらも野生の動物たちがわんさかと鑑賞でき、空気はミネラルをたっぷりと含み、他の地域では決して味わう事がない大自然の恩恵を享受できる。

ジャングルに囲まれた空間で耳を澄ますとあちこちから、野鳥や虫の声が聞こえてきて、彼らは時間帯によって登場するメンバーが変わってくる。

そして、ビーチに出ればエメラルドグリーンの海が広がっている。

次回はゆっくりとランカウイ島を訪れたいと思った。

この島、この空間でさえ、近いところに成功はないはずで、長期的な自然と調和した環境作りや、それを演出する建築物はジャングル一色だった頃には遠かったはずである。

この度のマレーシアでは様々な視点から、近いところには大きな運も成功もない事を実感した。

バイクとスマホ

この日はスーツでバイクに乗り込んだ。
今がピークなので乗る機会を意識的に増やしている。
風を切る心地よさがたまらなく最高に気持ちが良い時期だからだ。

目的地に到着すると傾斜がある道にバイクを止めようとしたが、傾きとバイクの重さのバランスを失いバイクを倒してしまった。
バイクは植木鉢をバタバタと倒し、私は呆然と立ち尽くすしかなかった。

気を取り直して、バイクを持ち上げようとするも、平らな場所でさえ持ち上げるのが一苦労するのに、傾斜がついているためまったく動かずお手上げ状態になっていた。

すると、近くを歩く年配の男性に目を向けたが、ジャージ姿で近くを散歩をしている様子だった。
そんな力もあるはずもなく、私がスーツ姿で汗をかきながら奮闘しているのを見て、近寄りながら手伝いましょうと言ってきた。

私は苦笑いしながら軽い会釈でお願いしますと言いながら、心では気持ちはありがたいが、戦力にはなるはずもないと思った。

しかし、年配の男性が手をかけたと同時にバイクが持ち上がってしまったのだ。

驚愕する私を後に笑顔で立ち去る姿は、まさにジェントルマンでジャージ姿の弱々しい初老の面影はなく、勇ましく見えるスターのようにカッコよく映った。

私は深々と挨拶をした。

その直後である。
スマホが無くなっていることに気づいたのだ。

バイクの転倒で悪戦苦闘したのも束の間、大事なスマホを紛失する失態ぶりに、もはや土俵際いっぱいの徳俵に足がかかっている状態になっていた。

かなり慌てたが、思考を巡らしているうちに気が付いた。
バイクで走っている最中に上着が風で舞い上がるのを乗っている時に感じていた。
その日に限って外ポケットにスマホを入れていたので、その勢いで投げ出されたのだろう。

うーむ、、一番困るのがセキュリティだ。
カード情報からクラウドにある各種パスワードなど、個人情報がぎっしりと詰まっている。
スマホを開くのに4桁の暗証番号が必要になるとは言え、それが充分に担保されているとは思えず、不安が残っていた。

直ぐに通信を停止にすると同時に新しいスマホを手配した。
スタッフが敏速な対応をしてくれたおかげで、翌日には新しいものが手元に届いた。

新しいスマホの暗証番号は6桁に増えていた。
今度は万一紛失しても、セキュリティが増しているので、今回のような不安は軽減されている。

既存のパスワードは変更してあり、今回の事でいかにクラウドが便利かを痛感した。

新潟視察

新潟に入るのは何十年振りになるだろうか。
関越自動車道から湯沢に入ると景色の変わり様に驚いた。

都心並の高層ビルがそびえ立ち、至る所にリゾートホテルやマンションが立ち並んでいた。
スキー人口は減っていると聞いていたが、このエリアは別格なのかも知れない。
山々がすごい数の箱物で埋め尽くされていた。

その様は自然の地に突如出現した不気味なエリアに映った。

今回の目的は鰻の養殖システムを視察するため、あるメーカー企業に訪問した。
当社のアクアポニックスで育成する鰻を確かめるため、現実現場を見にやってきた。

目的地まで車で約3時間の道のり、社員Oと同行しながら車中で面白い話になった。

当社の女性社員4人がここ1年間で結婚した。
Oは彼女たちを観察していると、新婚とは思えない暮らし振りをしているという。
ご主人とはほどほどの距離感が心地よいとか、一緒に過ごす時間があまりない日を過ごしているとか、男性社員を誘ってカラオケや飲みに行き旦那は家で待っているとか、新婚の雰囲気が微塵も感じらない事に、驚きを超えて大声で笑ってしまった。
車中では、その話題で持ちきりとなり、ついには問題解決モードまでに発展し、まるで夫婦間に危機が迫っているかのごとく、解決策を模索するまでになっていた。

塩沢インターで降りてから十日町までの道中に南魚沼町にある棚田風景を見る事が出来た。
そこは、まさにブランド米の価値に値するものだった。
山間の棚田には自然界からの山水が稲の栄養素となり、黄金色に輝く稲に穂がたわわに実って
いるのがはっきりとわかる。
素晴らしい景色と出会うことが出来て嬉しかった。

現地に着くと廃校を利用したオフィスに通された。
この付近は豪雪地域のため、建物の基礎が高く玄関を階段で登る家も点在していた。
これからの季節は全く違った景色になると共に、スキーのお客さんが増える事で地域にも活気が出てくるのだろう。

担当者の方に案内されて研究所に向かった。
そこは、製造業として洗練された空間があった。
そして、鰻がたくさん育っていた。
およそ1トンの水槽に500匹が成長している計算になる。

この仕組を天然村のアクアポニックスと融合する事で、野菜と鰻が同時に収穫出来るようになる。
そして、これを実際の事業に従事する地域の組織や、ベンチャーを創出し共に地域の産業に育成して地域再活性化を実現する。
このモデルを全国の地方へ波及させることで地方創生を果していくのがヴィジョンである。

今回の新潟視察をきっかけに連携する方々と共に改善を繰り返し、着実に積み重ねる事で成し遂げて行きたいと考えている。