御用達

今から遡ること5年、短期間でこれほどの快進撃を成し遂げている西武信用金庫理事長の話しを聞く機会があった。

今最も勢いに乗っている金融機関でメディアの露出度に加え、内閣諮問機関のメンバーにも名を連ねている。

経済の専門家は、これから企業が生き残る条件は次の3つだと言い切る。

海外進出、差別化、M&A

確かにその通りだと思う。

規模の大小に拘らずこれらを成し遂げない限り、変化の激しいビジネス環境で生き残ること事態、もはや言い逃れさえ出来ない状況になっている。

私の知り合いのラーメン店でもラスベガスやフィリピンに進出している。
また、M&Aに至ってはシナジーを求めて国内や海外での事例が毎日のように新聞を賑わしている。
そして、差別化は価格競争に巻き込まれる事なく、企業価値が上がる最も必要とされる取り組みである。

今回は「値引きをしない経営」をテーマとした講演だったが、非価格競争での挑戦はイコムでも声を大にして伝えている非常に大事なテーマでもある。

非常にシンプルな考え方だが、代わりがきくものは必要ないと言うことだろう。
つまり、他にも同じような商品やサービスを提供してくれる企業は、顧客から見れば価格が安い会社を選ぶからだ。
従って、価格競争になり企業が疲弊して行くことになる。

銀行でもそれは例外ではなく、特に金利競争による収益の圧迫化は合併や統合という形になって現れている。
つまり、代わりがいるからそんなに数が必要ないと言う事になる。

西武信用金庫は5年前、現理事長になってから非価格競争での取り組みに企業文化を変えた素晴らしい金融機関であった。

シンプルに言うと他社と違うことをやる。
肝は顧客にとってなくては困る必要な存在になることだ。

金利はお客様が決める。
メーンの特典をつける。
専門家集団によるコンサル能力。

などなど、細かい施策はたくさんあるが、結果的に値下げをしない事により、企業への貸出し金額、未回収率の伸びが業界ダントツトップになり、社員の給料も能力も上がり、会社が成長し、顧客も成長して喜ぶという結果を残している。

注目すべきは、西武信用金庫の顧客である企業が成長していることだ。

彼らのやっている事は、当然やみくもに値上げをしているわけではなく、やたらと金を貸しまくっていることもない。
そんな事をしたら、未回収が増え収益が圧迫されるだけである。
その未回収率も業界で群を抜いて成績が良いのは、顧客の売上げや利益が大きく伸びているからである。

これは、御用達しかない。

顧客にとってなくてはならない存在となる。
御用達を実践しているのだ。

昔から宮内庁御用達、〇〇藩御用達と言った商人がそれを表している。

顧客自身も気がついてないことを提案している。
顧客を最も知り、理解した上で既成概念を取り払い、企業に対して必要なサービスをあつらえる。
このあつらえる感覚が全員に浸透しているのだろう。

西武信用金庫の凄いところはここだ。
銀行が御用達を実践しているのだ。

こんな話しを聞いたら自分も西武信用金庫の顧客になりたいと思うのは当然ではないか。

私は翌日、西武信用金庫の支店を調べたが、埼玉には支店がほとんどない。
当然、取引もないので管轄する支店の範囲内でないと成立しない。

よく考えたら、当社の東京支社である赤坂から近い支店に虎ノ門があった。

すぐに虎ノ門支店長あてに電話をしたが、不在だったので折り返し電話をしてくれるように伝言した。
すると、30分ほどすると折り返し会社に電話があり、それは支店長でなく副支店長のN氏からであった。

さすがに初めて電話した相手に支店のトップが対応するのは躊躇ったのだろう。

N氏には経緯を説明して、取り引きをしたい旨を伝え、一度赤坂に来て欲しいと申し出た。
すると、先方は支店にお越し下さいと言う。

まぁ、よく考えたら当然だろう。
こちらが会いたいと言っているのだから、出向くのが自然である。
むしろ、来てくれと言った私がおかしいのかも知れない。

とにかく、今週の日程で虎ノ門支店に行きN氏と接見する事になった。

私の構想は既に固まっているが、実際に御用達を受ける立場に早く成りたいと思っている。
どんな事をあつらえてくるのか凄く興味深いのは勿論、快進撃を続けている金融機関とのふれあいで何か掴みを得たいとも思っている。