新しい働き方

働き方が劇的に変わり始めている。
インターネットがリアルとアンリアルの世界を創り出し、様々な業態の出現によりワーカーの働き方が多様化している。

りそな銀行豊洲支店では、ロボットだけの顧客対応がスタートし、自動運転機能を備えたタクシーがリリースされ、囲碁ではトッププロがAIに敗れるなど、人のお役目の潮目が完全に変わり始めた。

それを象徴する話を聞く機会があった。

参謀がクラウドワークスのY社長を招き話をする機会があった。

クラウドワークスの仕組みは以前も聞いていたが、ここまで進化しているとは思わなかった。

東証マザーズに上場して4年目になる同社は今期も赤字を想定している。
上場時から赤字が続くのに、そもそもなぜ上場出来たのか不思議に思ったが、Y社長によればビジネスコンテンツに圧倒的な強みがあると市場が評価しているそうだ。

つまり、働き方が多様化し時間の隙間を活用して稼ぐワーカーや、休日にセカンドビジネスとして稼ぐサラリーマン、キャリアを持った主婦など、自宅にいながら働く個人が収入を得る機会が拡大したのだ。

そのようなワーカーを組織化しているのがクラウドワークスという会社である。

主に法人が発注する仕事をクラウドワークスを介して個人が受注する仕組みになっている。
例えば、ライティングの仕事を依頼する際にコンペ方式を利用することで、予算を決めた範囲でのキャッチが数名の個人からアップされ、その中から選ぶことで成立する。

当初疑問に思ったことは、仕事の質やセキュリティーに問題がないか気になっていた。

しかし、事例紹介を聞いていると、大手企業からベンチャー企業まで、このシステムを活用して成果を得ていた。

シンプルに考えると発注側とすれば質に合った仕事をチョイス出来る立場にあるということ。
つまり、仕事の内容によってスキルを予算とマッチングさせれば用事を足せることになるのだ。
従って、場数を踏むことが必須になる。

中には新商品のアイディアを募集する企画や、新規事業のコンテンツを募る仕事もあったりする。
会社内だと既成概念に囚われるため、発想に広がりが限定されるのに対して、外部からの発想はしがらみがないため、あっと思わせるアイディアが出現したりする事例もあるそうだ。

もはや、ここまでくると作業はAIが担い、企画やアイディアを生む発想はクラウドワークスが仕事をし、専門分野は業務委託すれば、たくさんの正社員が必要な時代はなくなってくるだろう。

イコムヴィジョンの月のうち20日休んで10日働くワークスタイルも早期実現すると思われる。

正社員は会社のミッションやバリュー、ヴィジョンに共感し、未来に向けて自らの仕事に自然と意欲的に取り組める人しか残らないだろう。
いや、そのような組織しか生存できないのではないだろうか。

あとはM&Aによる買収や統合で会社の数も劇的に減少するのではないか。

一方で実力のある個人は逞しく稼ぎ、時間を有意義に過ごし、ワークライフバランスをマネージしながら快適な人生を歩むだろう。

今週はパリで過ごし、来週からニューヨークに入り、帰りにハワイでバカンスして20日過ごして帰国するようなライフワークが直ぐそこまで来ているようだ。

こぼれ話し

突然の出来事だった。

信号待ちをしていると、隣車線に止まっている軽トラから窓を開けてこっちへ話しかけてくるおっちゃんがいた。
どこの誰だか知らなかったが私も窓をあけてみた。

すると、突然彼は言った。

「俺もあんたと同じ車を乗ってるんだよ!
六本木ヒルズに住んでいて、ビルもたくさん所有してるんだ。
若い女も3人いて忙しくて大変だよー、朝だってムスコがビンビンに元気でよー、何歳に見える?」

私は大笑いしながら、面白いおっちゃんだなと思って聞いていた。

すると、「俺これから大学時代の同窓会でこんな格好してるけど、毛ガニやアワビを届ける役目なんだわぁ、そんでもってうちの女房が慈恵医大に入院してるんで見舞いに寄るんだよ。」

ところで、毛ガニとアワビが余るから持ってくか?

この瞬間で全てがパーになった。

なんだよ、おっちゃん散々自慢してたけど、要するに毛ガニやらを私に売りたいだけじゃねえかよ。
親近感を覚えたけど、そのやり方はないよと思った。

それと同時にこんな営業のやり方で商売が存在している事に驚いた。

私は彼を受け入れる度量がなかった。

すると、おっちゃんは信号の先で車を横づけするからついてきなよと言った。
私は回想していた。

彼のロジックはこうだ。

最初に同じ車だと言って感心を持った。
次にヒルズに住んで資産家だと思わせたり、女遊びを楽しむ人として興味を持った。
そして、同窓会や妻の入院で感情を持った。

しかし、直後に毛ガニを持っていくかと言われて全てがおじゃんになった。

おっちゃんが車を横づけして降りてくるのを横切りながら手をふった。
そして、こう言って別れを告げた。
「今日は時間がなくてもらえなかったけど、誰か他にいい人いたらあげてよ、じゃあ頑張ってね〜」

意外にもおっちゃんは落胆した様子もなく、爽やかな笑顔にすら映って見えた。
内心ではダメだったかと思ったにせよ、いちいち落ち込んでいたら、こんな商売は続かないだろう。

おそらく、彼に持っていくかと言われてただで貰えると思う人達がいるのだろう。
資産家で女が3人もいる余裕のある御仁が、余ってると言われたら、そうですか、それではいただきましょうと、釣られてしまう人だっているかも知れない。
いや、彼がこの商売を継続している事がそれを証明している。

そういう意味では、おっちゃんがすごく逞ましく思えてくる。
都会を軽トラで走り回り、信号待ちしている短時間で勝負している。
それはまるで、大海原でマグロを一本釣りしている漁師のごとく難易度が高い仕事である。

今度信号待ちしていて遭遇したら、おっちゃんを受け入れようと思えている。
信号の先で車を横づけしたら、降りて冗談半分で言ってやろうと思う。
毛ガニをもらえるなんて今日もついてるなと。
すると、おっちゃんはこう切り返すことだろう。

「いや、普通には手に入らない品だからね、格安にしとくからもってきな」
こんな感じで商売をしているのだろう。

私はそのやり取りを楽しみながらも値踏みをして、おっちゃんと会話のダンスを楽しもうと思う。

マクロビオティック

マクロビオティックに抱いた最初の印象は貧相なイメージで、同じような姿をした集団が拘ってつくる雑穀料理として受け止めていた。

しかし、ひょんなことからマクロビオティックの料理教室に通ったのがきっかけで、それまでの印象が私の中で転換していた。
時の講師だったO先生の影響もあり、マクロビオティックとは正食であり、自然食、食養であると学んだ。
肉や魚の陰性なものを食べると同時に温野菜や玄米などの陽性を食する事で中庸のバランスをとる事が肝要になる。

まさに、現代のコンビニやファストフードによる食とは対極にあり、これからの時代に必須な食の学びに通づる分野でもある。

そのO氏のお弟子さんであるMが5月より天然村でマクロビオティック自然食のカフェをオープンする。
そして、自分の弟子が長野で成功しているから、お店を訪ねて一度見学して勉強したら良いとO氏が勧めて下さった。

早速、Mを伴って松本までお店を訪ねた。
キッチンgen。
JR松本駅から歩ける距離にある駅前中央通りに面する立地にあった。

そこは、手作り感のあるお店で女性のお客様で賑わっていた。
看板メニューが玄米おかゆパンである。
女将さんはうちのは日本一だと広言するように、テイクアウトのお客様が次々とやってくる。

席につきメニューをみると豊富な品数に驚いた。
大豆ミートの唐揚げやひれかつ、ベジバーグやベジカレー、コロッケなど動物性食材を一切使用してないメニュー構成になっている。
おまけにスイーツ類も豊富で甘酒プリンは絶品だった。

私たちは今週のおすすめのプレート料理を注文した。
メインはかぼちゃ春巻とソイミートと野菜のトマト煮込みだった。
かぼちゃの春巻なんて初めてだし、どうなのかと思いきや、ほっこり甘くて春巻の皮のパリッとした食感とベストマッチの圧巻で、トマト煮込みは野菜の旨味が凝縮されたミシュラン二つ星シェフ顔負けの非常にスペックの高い一品だった。

そして、本丸の玄米おかゆパンを一つ食した。
ゴルフボールくらいの大きさのパンにレーズンとくるみが入ったもので、もっちりとした食感に自然の甘みが口に広がっていく。
砂糖は一切使ってないのが不思議なくらいに、本来食材に秘めた甘み成分を引き出している。
まさに極上の一品だった。
お土産に持ち帰り翌日食したが、まったく質が下がらない旨味をキープしていた。

砂糖はマクロビオティックではご法度だという。
体には百害あって一利なし。
つまり、食材のポテンシャルを最高に引き出し塩加減で旨味を出している。

これは、京都美山荘の摘み草料理に通づるものがある。

どんなに美味い寿司や鉄板焼きでも毎日食べたいとは思わないし、今が旬の食材で言えば松葉ガニや白甘鯛、虎フグの白子などの高級食材と言われているものは、成金の連中がやりたい放題で値段がつり上がったに過ぎず、本来大した価値のない食材である。

相撲で例えるならば、物言いがつき勝負審判が土俵上で協議した結果、行事差し違いとなった格好である。

キッチンgenのマクロビオティックは毎日でも食べたい気がした。
近くに移り住んで毎日通いたいと思ったくらいだ。

薪釜で炊いた玄米は腸内活性や肌のツヤを保つ効果もあるという。
まさに女性御用達の店である。

マクロビオティックは普通の料理に比べ長い時間をかけて調理をする。
従って、手間がかかるので大量生産には不向きであり、キッチンgenは特定少数のお客様にはなくてはならない存在になっている。

女将さんもO氏から学んだ要素をアップデートして、オリジナルの商品として他に変わりが効かない店として、そして、松本の地まで足を運ばせるだけの実力を兼ね備えた店だった。

O氏のお弟子さんと同じ位置に立つMのキラリと光る眼差しが印象的だった。

5月から始まる天然村カフェではgenのようなわざわざ足を運ばせる店として、地元の人と都市部から来た人々のたまり場になっているだろう。