銀行訪問

この時期になると各銀行から連絡が入る。
毎年決まって決算書を確認するために担当者から来社アポの依頼が入る。
銀行からの融資を受けている企業は、どこも同じような状況だと思う。

しかし、今回は担当者に会社に来てもらい決算書を渡すのではなく、私から銀行へ訪問する事にした。

私から銀行に出向き、担当者と支店長同席の場をセットして決算書の説明をする事にした。
狙いは二つあった。

一つは、支店長に直接決算内容を伝えることで信頼性を高めること。
二つめは、私個人の連帯保証人を外してもらうため。
今年は7行の銀行を訪問した。

率直な印象は各銀行によって支店長の資質がまったく違う事である。

優秀だと感じた支店長が何名かいたが、私の知らないうちに転勤になっていた。
銀行からはご挨拶があったようだか私が忘れていたのかも知れない。

やはり、自分の考え方をしっかりアウトプットでき、それを実行している支店長は短期間で栄転になるようだ。

ある銀行の支店長もその1人だった。

収益化する手法を自ら実行して生み出している。
預金を預かる、貸し出しをする、手数料収入を得る、だいたいこの3つが銀行の回収エンジンだが、支店長の裁量で大きく稼げるのが、貸し出しをする分野だ。

この人が実践しているのは単に企業に貸し出しするのではなく、稼げる対象に絞って自らプランしたものを企業に提示してシナジーを出すやり方をしている。
詳しい内容は書けないが、ポイントはわからない分野は勉強して聞きに行ったり情報を現場から集めている点である。

この方も近く栄転する事になるだろう。

そして、二つめは代表者連帯保証人を外す交渉の場面である。

お上からの通達で経営者ガイドラインなる制度がある。
それは、経営者が再復帰出来るように、巨額な融資対象金額を代表者個人が保証する従来の慣習を改める目的である。

そもそも、万一会社が返済困難な状況になったら、私個人が返済出来るだろうか。
いや、その場合はおじゃんで手仕舞いするしかない。
連帯保証人となっている私は返す当てなどあるはずもなく、必然的に自己破産になるわけだ。

従って再起は困難になる。

路上生活者になって缶からを集めるか、ゴルフ場の池に潜ってボールを拾うぐらいしかないだろう。

そんな状況にならないよう、お上の計らいで銀行は月に一度の報告が義務付けられている。

しかし、現場の意識は少々違っている。
当然と言えばそうだが、お上は通達を出すだけで責任は現場にあるからだ。

私が決算書の説明を終え、ガイドラインの話に切り替えると、相手の表情が険しくなるのが見て取れる。
各行ともに概ね変わらない表情だ。
一度協議をしてから改めて連絡するとの決め台詞を硬い表情で説明する。
今まで和やかな雰囲気だったものが、急に変わるのでその様を観察するのが面白くなってきた。
私は淡々とガイドラインに沿って保証人を外して下さいと伝える。
ガイドラインには適合しているので普通にしているだけだ。
お願いするような姿勢ではなく、制度の目的に沿って実行してもらう事を依頼しているに過ぎないからだ。
しかし、銀行とすれば内部の申請やらで面倒な事務作業が増えるだけで、メリットは何もないから仕方がないだろう。
勿論、ガイドラインに適合していない企業の場合はハッキリ断るそうだ。

時代の流れは稼ぐビジネスに対してどれだけ先見力があるか、銀行の判断基準も加速度的に変化している。