外から考える

朝のゴルフは爽快だった。
まるで、タイでラウンドしているかのような感覚になっていた。

朝の5時半過ぎにスタートして、9ホールのハーフを回って終わるのが7時半位になる。
料金も安く、疲れも残らないくて、ちょうどいい感じでプレー出来るのが気に入っている。
1人でふらっと行くので、組み合わせも様々な人と一緒になる。
医者や自営業、会社役員だったり、みんな出勤前にプレーをしている。

早朝の薄暗い感じから、徐々に明るくなり朝露から放たれる光と共に、センサーで感知したように草花が躍動するような感覚がある。

その瞬間、ふっと思い出した。
センサーの感覚に近いのかも知れない。
外から考えついたものとは、このセンサーに触れたところにあるのだろうと。

その余韻を残しながら仕事に向かう。

先週のセッションでコーチKから言われたワードが思い浮かんだ。

中から考えても答えは出ない。
外から考えついたものでないと行きつかないと。

その時は皆目検討がつかなかった。

その日は、本社近くのコーヒーショップに立ち寄り、リラックスしながらメールをチェックしたり、新聞を読んだりしていた。
最近はあえて、会社にいないように心がけている。
会社にいると突然邪魔が入るし、中から考えてしまう環境なので、午前中早めの時間は会社にいないようにしている。
中から考えた手段は有効だったか翻ってみると、決してそうではなかった事がわかる。

私の場合、まったく新しい分野に挑戦しているので、中から導き出そうとしても解はなく、まさにゴルフ場で見た光景がそれを示している。
太陽の光のセンサーによって草花が躍動するような、外からキャッチする構造に近いのだろう。

それは、自ら動いて中からの情報により手立てを講じるより、センサーでキャッチするまでリラックスした状態を保ちながら過ごす事が何よりも大切なのかも知れない。

考えるというよりも、センサーで捉えるような自動的に近い感覚なのだ。

これは、既存事業でもアップデートしたり、バージョンアップするには最適な手法で、しかも、offの状態にいる時に多くの機会に恵まれるだろう。
onとoffのない会社として再定義したイコムとしては、タイミングに妙味を感じる。

もしらかしたら、未来の仕事は常にoff状態としての立ち位置になるかも知れない。
いや、きっとそうなるだろう。
マイクロチップがあらゆるものに組み込まれ、AIがスクリーンを通して自動化される世の中になる。
それは、今までの仕事の作業を全て補ってくれるだろう。

常にoffで仕事が出来る状態、それは外から考えつくためのセンサーとしての役目になるだろう。

そんな時代が来るのも時間の問題だと思う。

収穫際

雨の予想を覆し、天水棚田復活プロジェクトの第一期目が終了した。

思えば、地元の活性化協議会の代表に案内された昨年は、ほったらかしに放置された荒地の里山だった。
その時に、棚田のもつポテンシャルと稲作の歴史や文化に触れ、この地域のもつ強みを生かし都市部の人々との交流を促進しながら、里山のもつエネルギーを復活させようと手を組んだ。

そして、いよいよ収穫際となる最後のイベントが2日間にわたり行われた。

稲穂の状態はベストに仕上がっていた。
通常の2割ほど大きく、本来の長狭米に近い素晴らしい出来栄えだった。

稲刈りはカマを使う手作業で実施された。
私も張り切って田んぼへと向かった。

長靴を履いたままだと、足を取られるので裾をまくり素足で入った。

稲の根元からカマを使い、穂が水に浸からないように気をつけながらスタートした。
始めて3分程しただろうか、足から血がどくどく流れているではないか。
痛みよりパックリと開いた傷の大きさに驚いた。
まずい、始まったばかりでリタイアするわけにはいかないと思うも、続けるには深手を負っているので、ひとまず手当をせねばならないと思い施設に戻った。
カマを手前に引いたため、起こした実にマヌケな失態をしてがしてしまった。

何と収穫際初日スタートとして3分後に完全にリタイアする始末。
それはまるでトライアスロンに出場して最初の水泳100メートル地点で足がつって、全てがおじゃんになり呆然と海で1人佇んでいるかのようである。

イベント主催者のトップとしては面目まるつぶれである。
地元の方々も呆れ顔、私は恥ずかしいやら、悔しいやらで、現場復帰はかなわず、ただひたすら施設で安静にしている事しか出来なかった。

「人生万事塞翁が馬」この諺を戒めていた。

何が良いか悪いかわからないというやつである。

もしかしたら、参加者に事故が起きるのを未然に防ぐ役割をしたのかも知れない。
参加者に良い手本を見せた格好とも言えるだろう。
または、次回以降に向けての失敗事例として、語り継がれる事で新たに事故が起きない抑止力となったのではないか。

そんな事を考えながら目の前の事象に失望感を抱くのではなく、淡々と今この瞬間を精一杯生きる、出し切る、未来を見据えて前進する、こんな想いで収穫際を終えた。

私を除いて大きな怪我もなく、稲刈りの後の餅つきイベントは大いに盛り上がり、つきたての餅をきな粉、大根おろし、あんこ、味噌、の4種類を和えて食し、まぜご飯やおこわ、いなり寿司などの地元の手作り料理を振る舞っていただき、地域との交流を楽しむ場を設けることが出来た。

天水棚田の手作り長狭米は来月には味わう事が出来るだろう。

実に楽しみである。

エコミュージアム

函館空港に降りついて大沼方面へと向かった。
函館は20年ほど前に北斗星の寝台車に乗って来た思い出があるが、北海道と言えば新千歳空港を利用するのがお決まりになっていた。

今回の目的は牧場視察で、現地スタッフの方が空港まで迎えに来てくれた。

馬の専門家Y氏と連携し天然村の取り組みの一つである、耕作放棄地の活性化に馬を取り入れた様々なプログラムを展開するため、本丸の北海道に来たわけである。
プロジェクトメンバーでもある著名人M氏、K氏とも現地で合流した。

現地に到着すると、自然の中に広大な牧場があり、それを見守るように駒ケ岳がそびえ立っている。
そのロケーションはまさにエコミュージアムであり、馬と自然のコラボレーションが圧倒的な存在感を放っている。
スケールが桁違いに大きく、ロッジや厩舎が調和している素晴らしい牧場である。

それは、先月視察に行ったサンフランシスコの牧場とは次元がまったく違っていた。
決定的な違いは自然であり、空気である風情が心地良さを感じさせてくれる。
この辺りが日本の強みであろう。

以前、この土地は地域活性化の取り組みとして、JR北海道がゴルフ場を兼ねたリゾート施設を段階的に進めていたが、思わしくなかった為に計画が途中で頓挫し、M氏による牧場活性化プロジェクトになった経緯がある。

この景観そのものが美術館としての価値を見出している。
これは天然村での取り組みに非常に参考になった。
何よりも私のイメージがくっきりと映像化出来た事に大きな成果があった。

また、今回の馬トレーニングで新たな洞察があった。
馬の性質は媚びないこと。これは犬や猫とは決定的に違う点である。
犬や猫はシッポを振ってじゃれてくるに違いないだろう。
しかし、馬は人間の個の性質として識別するわけでなく、動作や雰囲気を感じ取って認識する。
つまり、餌を上げたり撫でたりしても彼らはなびかない。
コツを掴むまでは思い通りにならないのだ。

私の馬もまったく媚びないので、目的の場所まで手綱を引いて到着するまで悪戦苦闘する始末。
おまけに足を踏まれ、激痛が走るも馬はそっぽを向くばかり。手綱に力を込めて引っ張るが馬の力で跳ね返され、完全に馬になめられている状態。

私はついにキックボクシングで養った左フックを顔面にお見舞いしようと思ったぐらいだ。

そんな試行錯誤を繰り返しながら馬と仲良くなるスキンシップの時間を過ごす。

夜の食事は白樺の樹液を出汁に使った豚しゃぶが美味しかった。
新鮮な野菜といっしょにいただいた。
また、ランチに食べたビザが劇的に美味しかった。
生地は近所の農家からの小麦を使いトッピングはナスやトマト、キノコ類もオーガニックで新鮮なものが盛りだくさん。
こんなピザは初めてだった。

今後の展開を考えるとこれらの要素を取り入れながら、連携によるシナジーを出して行きたい。

その時は馬の扱いにも慣れているだろう。

onとoffのない会社

ふりをしてるのでは。
そこから発想すると新しい景色が見えてくる。
もったいない時間でもあり、自分や会社にとって無益な仕事をやっている場合がある。

これを観察してみると信じ込みでやっている事が結構あったりする。
真面目にやること、皆んなと同じようにやっていること、常識的としてそうだから、とか普段疑いもせずにやっている事がある。
無意識に安心することで、そこからのブレイクスルーは困難を極める。

「onとoffのない会社」このコンテクストから仕事をすることでブレイクスルーの可能がある。

朝礼や会議は本当に有益なのか、毎日会社に行くことだってそうだ。
自宅から直接現場に向かった方がはるかに時間を有効に使える場合は少なくない。
仕事の終わり方でも、必ず会社から完了する事が有効なのか。
現場から完了してもいいだろう。または、近くのカフェで最後の締めをしたら、会社に戻る時間を有効に使える。

まずは、タイムカードの廃止、勤務時間、勤務地を限定しない。
たった3つの規則を廃止することでそれらは実現出来る。

在宅時間を有効に使うことで通勤時間の満員電車を回避出来る。
あるいは、事業部によっては早朝から仕事に着手して、お昼過ぎに終わりにして午後から旅行に行くとか、日曜日に訪問するのが有効な場合には適宜対応したりと、仕事の時間領域を自分都合でプランする。

物とインターネットが繋がる環境が劇的に変化する中、働き方の常識を覆すことで、onの中にoffを見いだし、offの中にonを見いだす事でブレイクスルーを可能にする。
ここから先はプライベートでここまでは仕事だと決める概念がない。

一方で、それだとずっとonだと言う意見もある。

イコム社員Nはその領域を体感している。
彼は釣りが趣味で一番リラックスして楽しめる時間なので、月曜日から金曜日まで平日の時間を使って釣りに行って有意義な時間を過ごすことをコミットしている。
トータルで自己の責任を果たせれば何の問題もないので、会社としては推奨している取り組みの一つだが、彼自身での体験からは充分に楽しめないと言う。

会社の時間を使って釣りに来ているとか、皆んな仕事をしているのに自分だけが、色んな申し分けが出てくるようだ。

最初は慣れないので仕方がないと思うが、決定的な要因は彼がoffの状態で釣りに行っていないことにある。
普段通り釣りに行って楽しんでいるoffの状態にある、そこからonを見出すことが出来たら、あるいはその時には見いだしていなくとも、数日後に効果が出るかも知れない。

とにかく実行してみることが大切になる。
onとoffのない本来の意義を掴むのは、自転車を初めて乗る時に似ている。
それはロジックでなく、体験の積み重ねから習得するものだ。
まずはトライしてみる。

ついでに役職名で呼びかける文化も廃止した。

すると、私をとおるさんと呼びかけてくれた社員もいた。

本社移転と同時にパラダイムシフトが起き始めている。