いなし

相撲の技のひとつに「いなし」という決まり手がある。
突進してくる相手を急に横にかわして、態勢を崩す技で、タイミング合えばあっという間に勝負がついてしまう。
相手の力を利用して勝つ手段で、ビジネスの世界や日常生活の中でも随所に見かけられる。

長男と寿司屋のカウンターで話しをしていたら、相変わらず彼女がいないらしい。
学生の頃は父親も嫉妬するくらいの彼女を部屋に連れ込んでいたのだが、それ以来さっぱりな感じで、何が要因しているのかヒアリングしてみた。

決定的なのは、攻め手がないことにあり、アクションしていない実態が明らかになった。
つまり、目に止まった女性に声をかけたりしていないのだ。
どんな状況にあるにせよ、こちら側からアクションしない限り絶対に彼女は出来ないと彼に伝えた。

片道切符でニューヨーク入りした次男から連絡があった。
家賃の支払いが現金のようで、カードが使えないから困ったという。
しかし、本当に困っている状況なら何かアクションを起こしているはずだ。
家主に対してもっと交渉することはあるだろうと伝えた。
文字通りこのケースも長男のそれと何ら変わりはない。

一方で、娘姉妹の2人はちとばかり男連中とは違う。
いなしが出来るのだ。
タイプは違うが、2人に共通しているのは仕掛けるのは娘からだという点である。
アクションして彼氏としてモノにしたあと、いなし技を巧みに使いこなしているのが、見なくてもわかる。
いなした後に態勢が崩れた相手をコントロールしているのだ。
兄弟より一枚上手である。

ビジネスでもまったく同じ事が当てはまる。
先ずはアクションはマストで、それから信頼関係を重ねながら、ある程度のスパンでいなし技を駆使しながら交渉していくプロセスを経ないと、中身のある仕事には仕上がらない。

しかし、恋愛やビジネスでも、タイミングを誤っていなし技を使うと、土俵を割ってしまう事がある。

苦い思い出が脳裏をよぎる、、、

スライディングドア

友人からのおすすめで映画を見た。
アマゾンプライムだと無料で視聴が出来る素晴らしい時代になった。

「スライディングドア」地下鉄に間一髪で間に合って乗れた人生と、間に合わなくて乗れなかった人生を同時進行で描いている。

そのタイムラグにより、現実が変わっていく模様は観点により様々な捉え方になるようだが、大きく道が分かれる瞬間でもあるように思う。
例えば、スライディングのように駆け込み乗車した事で出会える人物や、それに導く何らかのきっかけがあったりする。

こんな場所で出会うなんて思ってもみなかったという体験をするときは、何かを示唆している場合が少なくないようだ。

例えば、こんなことがあった。
ゴルフ場でゲストの共通の友人がバッタリ鉢合わせになったことがあった。
面識はないのだが、ゲストの友人が非常に感じが良い印象だったので、次の機会にその方とラウンドしてもらうようにセットした事があった。
実際にプレーしてみると、立ち居振る舞いから受ける印象は一流の人物だとわかる。
そのご縁から次の親交を深める機会が訪れるようになっていく。

そのゴルフ場でその日に予約していなかったら出会う事はなかっただろう。
そして、帰りのロッカールームに居合わせた時間がずれていたら、このような展開にはならなかっただろう。

あるいは、会食で話しをしていたら、先方の次に行く人物に興味があったので、急遽予定を変更して、直ぐにご一緒させていただく場面があった。
まったく、予想もしていなかったが、新しい出会いから新たな展開を創りだして、今ではそちらの人物と会う時間の方が多くなっている。

それが、人であれ物であっても、それを起点に未来を創るのは選択次第のようだ。

スライディングドアの映画は、受動的な印象を受けるが、乗車して出会う人物と関係を築くのも、時間がずれて浮気を目の当たりにするシーンからの展開も全て、そこから起動する流れやタイミングを主体的に展開出来るか否かで、未来は全く違う景色になるのではないだろうか。

普段何気に過ごしている中で、起点になるシーンはたくさんあるだろう。
それを無意識に見過ごすか、起動して手繰り寄せるか、もっともっと意識して過ごしていきたい。

凄いおむすび店

日に一度はつぶを食したい。

最近、おむすび専門店の権兵衛によく行く事がある。
駅前立地にあり、店舗によってはイートインがある。

玄米と白米のおむすびのバリエーションが多様で、味噌汁も自家製、お惣菜もあって、品質がよく美味しいので、お気に入りの店になっている。

先日、赤坂のイートインで食べていたら、従業員が挨拶の練習をしていた。
テイクアウトのお客さんがひと段落したタイミングで始めているようだ。
これは、赤羽店や大宮店でも同じような光景を目にした事がある。

また、本部のマネージャーらしき人物がアルバイトのスタッフに対し、声の高さや立ち居振る舞いまで、丁寧にレクチャーしていた。
あなたは、地声が低いのでもう少し高い声を出す練習をしましょう。など具体的に指導しているので、感心して様子を見ていた。

会社として、仕組化しているのが卓越している印象を受けた。
品質はもちろん、接客にも配慮が徹底されている。
また、田んぼ農家さんとの直接取引をしており、安全性や地域の貢献度も大きい。

更に品切れした商品でも短時間に注文に応えるようになっている。
アルバイトのスタッフが全員おむすびを作っているのだ。
裏側を除いて見るとテイクアウトのオペレーションの他におむすびを握っているスタッフがいる。
朝の時間帯や昼のピークに合わせ、どの位の量を何時に何人で作るのかも仕組化されているのだろう。

つまり、顧客に対し徹底したサービスを惜しみなく発揮しているのだ。

安く、早く、美味く、大きく、品質よい、バリエーションあり、近く、笑顔、品切れない、イートイン、安全、社会貢献、これだけの要素を備えている飲食店を他に知らない。

テイクアウトのお客さんがほとんどだが、よく観察していると、老若男女がおむすびを買っている。
概ね、イートインは女性が多いようだ。
最近は健康食ブームなこともあって、玄米のおむすびを選ぶ人も目につく。
玄米をふっくらと食べやすくしている工夫も素晴らしい。

顧客としてのファンでもあるが、商いとしても、おむすび権兵衛に学ぶところ多し、である

隠れ家と人物

隠れ家にM氏を訪れた。

久しくお会いしていなかった。
大病を経て引退したと聞いていたが、最近は仕事でお世話になっているので、挨拶を兼ねて訪れた。

不動産と建築の会社経営をバトンタッチしてから、アドバイザーとして相談事を引き受けながら、のんびり隠居生活を楽しんでいるようだった。
M氏の元には色々な人々が集まってくるようだ。
人間力がそうさせているのだろう。

それを象徴する話を聞く事が出来た。
信頼のおける大事な要素は約束を守ることだが、M氏の場合は自ら発言した内容に責任を取っている。
己が相手に吐いた言葉は、必ず実行して約束を果たすそうである。
非常に重みのある発言だった。
従って、人としての幅もあり、話をしていて安定感があるので、自然と多くの人が頼りにして隠れ家へやってくるのだろう。
自らの体験を踏まえ、不動産取引で困っている方々へのアドバイザリーとして、お礼に大根やお芋を持ってくると苦笑いしていた。

当社の役員Gもその一人で、未経験の領域にチャレンジしている最中、M氏のアドバイスによるところの成果がはっきりと見てとれる。

そんなM氏がイコム本社にお越しいただいた。
その際、面識のある社員Yとも会えて、社内にいる姿を見て印象的な話しを聞かせてくれた。

昔からその傾向は見られたが、よりそれが強まっているようだね。

象徴的な2人、YとGの個性は対照的でここまで極端に異なるタイプが、それぞれ加速しているようだ。

Yがアロハシャツに麦わら帽子で仕事をしている姿によりらしさを感じたらしく、おまけに仕事モード感の薄い雰囲気、終始笑顔でまるでカールのおじさんキャラのごとく、さらに磨きがかかっている様子、一方でGはスーツ姿で眉間にシワの寄った仕事モード感バリバリ、常に悲壮感が漂う雰囲気で、それはまるで刑事が犯人を逮捕しようと、昼夜を問わず張り込みや聞き込みを淡々とこなして、徐々に追い詰め逮捕してしまうようである。

この対照的な2人をonとoffのない会社のキャッチに例えて、Gはずっとon、Yはずっとoffだと表現していた。
つまり、仕事とプライベートを区別しないことが、onとoffのない会社なのだが、どうやら2人は偏りすぎている感があるようだ。

M氏はタバコを吸いながらポツリと言った。

あんたも大変だね。