ウイスキー

久しぶりに遅くまで飲んでいた。
東京ウイスキーライブラリーに入った。

表参道では珍しく午前3時まで営業している。
午前0時を過ぎていたが、満席で入れず20分ほど待つことになった。
週末とはいえ、広い店内は外国人と若者で賑わっていた。

表参道のブランドショップが並ぶ通りから一本入った、人通りの少ないエリアで、外からは看板もなくひっそりとしているので、最初はたどり着くまで少々戸惑ってしまうだろう。

約1200種類のウイスキーが図書館のようにウイスキーが棚いっぱいにずらりと並んでいる。

時をかけながら円熟していく琥珀色のウイスキーが図書館の本のように並ぶ情景は、マニアックにはたまらなく響くだろう。

ウイスキー品薄状態の中で、これだけの商品ラインナップを揃えているのは、圧倒的なバリューとなっている。

カウンターでメニューを眺めていたが、あまりにも種類が多くどれを選んでいいか迷っていた。
スコッチが好きなのでバーテンダーにオススメを聞いてみた。
すると、高飛車な態度でピート、ブリニー、エステリー、どのタイプがいいか聞いてきた。
そのような聞きなれないワードは知る由もなく、何ですかと質問するのもしゃくなので、スモーキーでライトな感じのやつと言った。
すると、バーテンダーは予算を聞いてきた。
高いのはワンショットで1万円を超えるものもあると言うので、高くて美味いのは当たり前、コスパいいやつをチョイスしてよと返答した。
うーむ、と難しい顔をしながら考えていたので、めんどくさくなって最近飲んだグレンリベット18年をロックで注文した。

専用のグラスと氷で飲むと香りと味が一段と違ってくる。
ウイスキーのうんちくを知るともっと楽しい会話になるだろうと思った。
高飛車なバーテンダーは、人を見て仕事をしているのは明らか、こちらとしても会話が弾むレベルまで学ぶことで、彼ともっと仲良くなれるかも知れない。

ウイスキーの世界は奥が深い。

ゴルフコンペ

富士山がくっきりと見えていた。
車を走らせながら目の前に大きく現れ、3分の2が雪で覆われていた。
日本の象徴とも言える圧倒的な存在感に感激していた。

武蔵カントリークラブ笹井コースに着いた。
名門コースと呼ばれる場所で銀行のコンペが開催された。

スタート前に初参加の挨拶をした。
組み合わせ表を見ると、地元の老舗企業が多くあった。
二代目の若を中心としたコミニティが会を盛り上げている印象を持った。
とはいえ、若と言っても60近いのだが。 笑
このゴルフ会も歴史があるようで、銀行にとっては重要なイベントの一つになっているようだ。
唯一、支店長がプレヤーとして参加したが、課長は事務局としてスーツ姿のままスタートホールに立っていた。

風が強く寒いにもかかわらず、忍耐強く7組のスタートを見送る姿を見て、何とも切ない気持ちになった。
思わず声をかけてしまった。
「スーツ着てそこに立ってないで、一緒にプレーしましょうよ」
すると、事務局としてのお役目がありますから、という返事が返ってきた。

彼は仕事として完全に割り切っていた。
むしろ、伝統的な会の進行役として、先輩方から受け継いでいる使命感のようなものがあるのだろう。
支店長にしても、出来るなら普通に仕事をしていた方がいいのかも知れない。
普段見せない表情を浮かべていたのが印象的だった。
気を遣いながら笑顔を振りまいていた。

最終組でのスタートになったが、さすが名門クラブだけあって景観は素晴らしく、桜が満開でフェアーウェイの両サイドは見事なまでの桜を見物できた。
60年の歴史を誇る風情があり、富士山と共に桜の花がコースを引き立てている。
まさに、日本を象徴する景観に感動した。

強風によりスコアはまったくで100を超える有様。
しかし、プレー終了後のパーティーで順位が発表されると、トップは何と80のスコア、強風はいい訳に過ぎなかった。
貸ビル業をしている方だったが、もはやゴルフが生業としているような優勝のコメントだった。

初参加した印象は、少し重い空気感があり、女性や若手がいなかったのは、会としてリフレッシュする空気感に変えていく必要性を感じた。

熟練の店

上野駅で待ち合わせをしていた。

予定の時間より30分ほど遅れてくると、K氏より連絡があった。

19時ごろになるとまだ肌寒いので、どこか店に入ろうと近くをうろちょろしていた。
上野界隈で飲むのも久しぶりで、アメ横あたりをぶらついていると、オープンテラスで賑わっている焼き鳥屋をちらほら目にする。

気になる店があったので、のぞいてみると店内は狭いが、賑わっていて雰囲気も良かったので、ここへ先に入って一人で飲んでいた。

カウンターに座ると江戸っ子風のおばちゃんが元気よく注文を取りにきた。
小料理店「志んせい」創業76年の熟練である。
枝豆とイナゴを注文してハイボールを飲んだ。
周りを見渡すと皆おでんを注文していた。

おばちゃんにおでんの話題を振ってみた。
思った通りおでんの出汁は、創業時から継ぎ足し継ぎ足しで、伝統の味が継承されていた。
K氏が来てから注文しようと思い、どれにしようかおでんの具に目が釘付けになっていた。
すると、隣の男性がイイダコが美味いと言った。
更に、牛すじやたまごもいいと後ろの方から聞こえてきた。

おばちゃんにさりげなく聞いてみた。
駅から近い場所だから一見さんが多いと思ったが、馴染みも結構いるみたいだね。
すると、76年やってるから馴染みも多いけど、一見さんも半分くらいはいると言う。

しばらくしてK氏が現れた。
仕事の帰りで長引いてしまい、申し訳なかったと言って隣のカウンターの席に座った。
すると、黙々とある仕事の課題について話し始めた。
こちらは、おでんを早く注文したかったが、夢中で話しをしているため、話の腰を折るわけにもいかず、おでんを注文する機会をうかがっていた。

しばらくの間、Kは脇目も振らず飲みながら話していて、未だにおでんが注文出来ていなかった。
こちらも話を聞いているフリをしながらも、タイミングを計っていた。
よし今だ!話の間が空いた瞬間を逃さなかった。

イイダコ、たまご、牛すじ、大根、ガンモ、早口で滑舌が悪かったようで、おばちゃんは何を注文したのか理解していないようだった。

しかし、そこは熟練の店である。おばちゃんは注文したおでんをきちんと出してくれた。

2人でおでんをつつきながら飲んでいると、出汁の染み込んだ各種おでんの美味さに目を丸くしながら見つめあっていた。
それからの時間は江戸っ子風のおばちゃんに日本酒を振舞いながら、熟練の店の話題で盛り上がった。