地方にアクアポニックスが雇用を創出する。

命を守るという仕事にONとOFFはない。

対談
Talk

職種も業界もまったく違う外部の会社からイコムがどのように見えているか、
そもそもの仕事の考え方も踏まえ
他力サンガ代表 寄田様に語っていただきました。
横山 知由

横山 知由

株式会社イコム 採用Gマネージャー

2005年中途採用で入社。元天然村村長。マンスリーマンション、中古物件リノベーション、天然村とイコムの中でも異色の経験を持ち、様々な開発業務に関わる。
いまはその経験を活かし、採用担当として活躍中。

寄田 勝彦

寄田 勝彦 (よりた かつひこ)

他力サンガ 代表

他力サンガ発起人、他力塾代表、ホースインタープリター。
国内には複数個所、その他にも海外ではカリマンタン、モンゴルなどに拠点を置き、馬を介した地域・環境・教育など、多様で固定化することのないオルタナティブな活動を展開している。ホースインタープリターとして、馬を介した環境教育や子どもの自立支援など、オリジナリティ溢れるプログラムを全国的に展開している他、環境教育や自然学習のエコ・ミュージアムのデザインにも数多く関わり、地域住民とりわけ老人と子どもたちのふれあいの場を創出するなど、コミュニティ活性化と世代間交流にも貢献している。

http://www.tariki-sanga.org/

「型は大事なんだけれども、形にするための場の提供、
形を育てる仕組みの方が大事」

横山 知由

横山:
僕が伺った寄田さんのお話で、一番胸を打たれたのがやはり「型論」だったと思います。今日はその辺りから少しお話したいと思うのですが…やはり「型」を語るうえで、日本で言うところの作法とか、そういうものがあったりして。靴はちゃんと揃えて並べるとか、お辞儀はこういう風にするとか、何かを学ぶ時にまずは「形から」というものがすごく重要ですよね。

寄田 勝彦

寄田:
それがなければ意味がないですよね。型というのはただのきっかけでしかないので。 礼と型は同じモノだと思っています。礼と言われるものと、型と言われるものはひとつだと解釈していて、馬なんかの場合だと言葉が通じないので構造で対応するんですね。

構造によるコミュニケーションと言いますが、その言い方を変えれば、型によるコミュニケーションなんです。構造というのは順番ですよね。ABCDというのはアルファベットの順番で構造化されていて、1234というのは数字の順番で構造化されていますよね。

これに則って馬もコミュニケーションを最初にとります。なので、本当に型によるコミュニケーションの究極が、馬とのコミュニケーションだと僕は思っているんですよ。実は人間も全く同じで、まず型によるコミュニケーション。そこからは変えざるをえない。

なぜならば、相手の本当に深い、「この人はどんな人間なのか」とか、営業なんかは本当にそうですけれども、全く知らない人と向き合った時にそれを除いてしまうとですね、超能力系でしか無理なんですね。あなたの心の深いところを私は見えますとか…逆にみんなびっくりしちゃいますよね(笑)
そうではなくやはり、礼というのも型なので礼も大事なんです。

ただ、それがただの礼であり、型である段階では人の心には響かないんですよ。自分の心にも響かないですね。ただ単に家に上がるときに靴を揃えましょうだけでは全然響かないんです。

ところがそれに「血」が入って形になると、とたんに響くようになってくるんです。逆に言うとですね、形になっていれば靴を揃えなくても響くようになってくるんですね。それは新しい型として相手に認識されるようになるからですね。

なので礼という型も形になればダイナミックに動いていくことができる。ただ型だけの中に入っていると、礼というのは礼儀なんていう言葉で、こうせねばならないという風になって押しつけられるもので、ある種暴力的なものになってしまうんですね。

そうすると当然若い子は反発するし、教わっても説教をされたような感じになってしまうんです。そういう人の育て方は、僕はあまり意味がないなと思っていて、そうではなく型は大事なんだけれども、形にするための場の提供であったり、形を育てるための仕組みであったり、そちらが大事だと思っています。

「掃除は誰がどんなところにゴミを捨てているのか、
そういうことから人を見ることができて、
身につくようになる。」

横山 知由

横山:
今のお話を聞いていてすごく思うところが、自分自身がそもそもそれを身につけたいと思うかどうかという動機付けはすごく大事じゃないですか。そういう意味での動機付けというのはむしろそういう育てる側が提供していかないと。

寄田 勝彦

寄田:
最終的には個人個人によって変わってくるので僕たちにもできないところがあるのですが、でも、「大切なことがあるんだよ」というのは伝えてもいいと思います。それは漠然としたイメージだけではなくて、例えばさっきの掃除も型の話だけれども、この掃除には大切なことがあるんだよ。

例えば、馬の動きや生活習慣が分かるからまず事故に遭わなくなるし、馬の気持ちや生活習慣が分かった方が乗馬の技術もどんどん上達するんだよ、ということも説明の仕方ですよね。仕事でも色々なことがあって、例えば僕は会社をよく知らないけれども、会社の新入社員が掃除をするという時に、ただ単に新入社員が掃除をするのは型ですよ。

そこから、掃除によって形にしていくんだという風に新入社員の方たちがモチベーションを持ってくれれば大きく変わる。
そのためにはやはり説明は必要で、この掃除というのは、この会社がどんな会社なのか、どこにどんな本があるのか、誰がどんなところにゴミを捨てているのか、そういうことから人を見ることができて、自分の中に入って身につくようになる。

これをステップに学習していくんだよ、という話をすれば多くの人は、意味が分かるし、僕にとって非常に重要な学びのチャンスなんだと思えると思うんです。普通の会社でそれを思えない人は他のところ行けばと思いますけどね。うちはセラピーが主な事業だし基本的に最初は給料も払ってませんから。

そういうお金ももらっていない人にガミガミ言ったりもしないので、一緒に育っていきましょう、10年かかってもいいですよ、というのが僕のスタンスですが、そこは特殊なところではありますけれど、普通に給料もらって働いている人に今ぐらいの説明をして、分かりませんと言ったらそれはもうちょっと厳しいなとなりますよね。

ただ一般社会ではその説明はほとんどなくなりました。

対談

「休みの日に馬が具合悪いと電話がかかってきて、
休みだから電話を出ないやつは働けないですね。(笑)」

横山 知由

横山:
イコムという会社が新しいフェーズに入っていろいろな変化にチャレンジしていてその状況の中で感じるのが、「オンとオフのない会社」という働き方をコンセプトに新しい働き方のルールが構築されていて、イコムの中で育ててきた「清掃の徹底」というカルチャーがもしかしたら少しずつ失われていってしまうのかなという不安があります。それが直近のテーマになっているのですが…。

寄田 勝彦

寄田:
そこは、もちろんイコムさんの会社の方向なので、イコムにとってどうかというのは僕にとって全く分からないですけれども、僕が経営している会社の考え方でいうと、まずオンとオフが無いという考え方に関しては全く同じですね。命を守るという仕事をしているので、馬の命もそうだし、セラピーも対象になる方々、あとはスタッフの命もそうですけれども、それを守ることがうちの最大のミッションです。ただ生きることが全てにおいて優先される。それはミッションとしてあるので、命を守るという風に考えた時に、オンとオフができるわけがないんですね。命はずっと続いてて、寝てる間ですら命は蠢いているので、夜中病気になったから放っておくということにはならないし、もちろん休みの日はあるんですけど、休みの日に馬が具合悪いと電話がかかってきて、今日は休みだから電話を出ないというやつは働けないですね。(笑)

牧場という環境である以上。オンとオフがないというのはどういうことなのかと考えると、例えば労働基準法的にはあり得ないわけですよ。労働時間が規定されていて、休みの日数も決まっていますから、法的なものとは無関係な意味でのオンとオフは成り立つと思うんですね。法律は日本で生きてる以上守るべきだと僕は思っているので、それはそれであるんだけれども。そうではなくて労働時間や休みの日数に換算されないようなところの話で、オンとオフがないというものだと思うんですね。

横山 知由

横山:
僕らも企業なので、当然法律的に順守されるべき働き方の中に、オンとオフという話があるワケですが、新しい働き方として捉えたときのヒントみたいなものとして、何かありますか?

寄田 勝彦

寄田:
暮らし方ですよね。その人がどうやって生きているのかという生き方と言ってもいいし、暮らし方や生き方みたいなものが、オンとオフを必要としないような生き方ができていますか?という話になるのだと思います。暮らし方や生き方の問題を、考えるということが一番大事なことなんだということは常々伝えるようにはしていて、疲れたから休んではいけないという話と、オンとオフがないというのは全く関係がない、話の次元が全く違うんですね。病気で会社に来ないという話と、オンとオフがないという話は全く次元が違うんです。この次元の違いというのをよく説明しないと、そのことが混乱を生んでしまうんです。

そんなこと言ったらブラック企業じゃないですか、という話になってしまいます。でも、自分が子供を産んで育てたら、オンとオフは無いんです。それと同じです。そんなこと言ったらブラック企業じゃないですか、という話になってしまいます。でも、自分が子供を産んで育てたら、オンとオフは無いんです。それと同じです。そのように、暮らし、生きるとはどういうことなのか。それと自分がお金を稼ぐということはどうリンクしているのかということを考えて欲しいです。考えるだけではなく実践してほしいんだと言っているんですね。そういう風に考えれば、例えば休みの日に映画を観に行っても、そのことは自分が関わっている馬のトレーニングに何らかの関係性があるし、切る必要は無いんです。映画を観に行ってる、ダーティーハリーの映画を観たから馬とは関係ありませんと。確かに関係は無いんだけれども、でもどこかで繋がっているかもしれない。愛や正義の問題というのが、セラピーと繋がるかもしれない。なので僕は絵をたくさん見に行けとか、映画に行けとか、コンサートに行ったほうがいいよとか言うんですけどね。それはなんでかと言うと、全部が繋がって生きるということの価値が上がれば、セラピーの価値も上がるし、仕事の価値も上がってくる。そういう風に考えると、とたんに色んな事が楽になるはずですよ。

「イコムという不動産会社が天然村みたいな
チャレンジをしているのはとてのイノベイティブだと思う。」

横山 知由

横山:
話を根本的なところに持って帰りたいのですが、いま寄田さんがやられている事業、代表者としてプロフィールみたいなものを簡単にご紹介させてもらいたいと思っています。宜しいですか?

寄田 勝彦

寄田:
はい。僕は馬によって生かされているという仕事をしているので、馬が中心の暮らしをしています。ただ、他力サンガの代表ではなく発起人という肩書をみんなに伝えているんですね。他力サンガの発起人で、普段どんなことをやっているのかというと、基本的には僕が作った様々な法人で起きる問題があればその解決のお手伝いをするというのがひとつですね。それから新しい場を作ったりだとか、新しい新規事業の立ち上げなんていうのは一応僕が担当してやっていることになっています。ただあんまり働いていないので。本を読んだり映画を観に行ったり音楽を聴いたり、そういうこともしなくてはいけないので。あとは馬に乗ったりですね。

普段は移動が多いですね。今年は120回ぐらい飛行機に乗ったと思います。
海外もそれぞれ全部仕事があるんですけれども。ポーランドには馬車の仕事があったり、タイの方では新しい牧場作るというミッションがあったりだとか。あとはコーヒー豆の輸入をしていたりですね。
本当にたまに糞みたいな世の中だなと思うんですけれど、困っている人が多すぎだろ、ということなんですよね。そういう人たちと出会う機会を頂くことがあれば、それはもう全力で。何もできないですけれども、何かできないかということを探しているというかそういうことが来る毎日ですね。

横山 知由

横山:
イコムとのご縁も、そもそも天然村があって、ということがありますけれども、元々の繋がりというのは早川とのご縁ですよね。

寄田 勝彦

寄田:
そうです。共通の友人にご紹介していただいたんです。僕は馬のことをやるために日々生きているので、天然村という場所があって、そこで馬というのも面白いねというお話をいただいたので、そこからお付き合いが始まったという感じですね。

イコムは面白いなと思いました。不動産会社のことについて僕は素人なので全然分からないですけれども、アパートを斡旋したりだとか、そういう仕事しかイメージない訳です。でも本業が不動産事業という方が天然村のような事業をやろうとしているのを知って、暮らしということに興味がお有りなんだなということは分かったんですね。これにはかなり驚かせられました。

「暮らし型」というのはいまではかなり新しい概念だと僕は思っていて、うちも暮らし型のセラピーと言っているんですけれども、これは欧米では生まれにくい概念ですね。分断してしまっているので。仕事と暮らしは別の物ですよという風に。だからホリデーが長くあって、休みを使ってバケーションとかありますよね。あれはもう、究極に言えばあんなに長い間休むので仕事と暮らしが分かれていないとできないですよね。仕事は仕事で割り切ると言う風になるんです。

分割した人間像みたいなものがあって。アジア人は基本的にはやはり暮らしと仕事というのが一体ですよね。農耕民族のせいか分からないですけれども。そういう意味ではアジア型だし、世界が向かう方向というのはそちらにしか未来がないと僕は思っているんですね。もうこの分割と分断はどこまで進めても限界が来る。それはビジネス的な意味でも限界が来るし、人が生きるという意味でも限界が来ると思うので、もう答えは暮らしにしかないと。どう暮らすか。

満員電車で通勤も暮らしだけれども、どう暮らすかが重要になってくるから、そういうことに気が付いて、イコムという会社が天然村みたいにチャレンジをしているのは、これは面白いなと思っています。これは新しいし、イノベイティブだし。周りからはある種革新的過ぎてびっくりされるのではないかなと。(笑)

もしくはよくあるパターンとして、社長の老後の趣味でやっているんでしょ?みたいな言われ方をすることがあるのではないかなということはイメージしました。ただ実際に行くと社長も本気でやっているのが分かるし、スタッフの方もなんとかあの場所でという風にやられているのを見ると、これは面白いなと。すごく新しいことを目指している会社なんだなというように思いましたね。

対談

「生きるということは本当に
素晴らしいことなんだということですね。」

横山 知由

横山:
ありがとうございます。逆にこれからイコムに期待したいことってどういうことがありますか?

寄田 勝彦

寄田:
やはり不動産というのは何か問題なんですけれども、不動産というのは価値としては限定的なんです。これは決定していて、不動産というのは価値が上がったり下がったりはしますが、それでもたかがしれているんです。

ところが、不動産を含む地域社会であったりとか、生き方とか暮らし方というのは無限なんですね。不動産のようなプロフェッショナルな方々が、生き方や地域作りや地域創生といった無限の価値の方にシフトしていくことが未来のビジネスだと思います。有限の価値からより無限の価値の方に。

例えばセラピーもそうだし、人を元気にするのもそうだし、観光だってそうですよね。観光だってそこに来てそこに価値が生まれて地域作りが生まれてみたいなそういった無限の価値の方にビジネスのスタイルがシフトしていく。もちろん専門としての土地や建物から始めて、無限の価値を生み出していけるような、そういう価値観を持った会社になろうとしているなという感じは受けるんですね。それがより具体的な形になっていくと、それはすごいことだと思います。

僕らなんかは逆に目に見えない価値が、計量不可能な価値と言うんですけれども、有限ではなく無限ではあるんだけれども計量できないような価値ばかりをやってきたんですね。むしろ、そこしかやってこなかったんです。ところがイコムさんのような、有限で計量可能な価値を専門とする会社の方が、無限で計量不可能な価値の方に業態をシフトしていって、そこで成功ですよ。成功とは何か問題は置いておいて、ある種の成功を手に入れることができれば、大きな革命だと思いますね。

「寄田さんから、若い人へメッセージ」

横山 知由

横山:
最後に、採用ページというところがあって、若い人に向けたメッセージというか、これから働く若い人にこんな働き方いいよ、とか、働くってこんなことだよというメッセージをいただきたいと思っているんですけれども。

寄田 勝彦

寄田:
これから会社に勤めてくる人たちに向けて僕が何か言えるとしたらですね、生きるということは本当に素晴らしいことなんだということですね。どんな生き方でも、生きるというのはものすごく重要なことだと思うし、自分が活き活きと生きられるような、そういう会社に入って欲しいと思います。そして活き活きと生きられるような会社を自分で育てていくような、自分がその会社に影響を与えられるような、そういう風にして働けば明るい未来が待っていると思うので、是非そのように働いて欲しい。

そのためには何が必要かというと、弱さに寄り添うということはずごく重要で、弱さとは何かということを考えて、自分より弱かったり力が無かったり発言権が無かったりするたくさんの人のことをいつも心の片隅に置いておくと、なんと、より自由になれる。なんと、自分が自分らしくいる時間を長く確保することができるようになる。と、思うので、立場やカテゴリーで動く人にならず、自分より弱い人に寄り添っていくという感情を持ち続けていればということをお伝えしたいなと思います。

横山 知由

横山:
ありがとうございます。

寄田 勝彦

寄田:
ありがとうございました。

「地方にアクアポニックスが雇用を創出する。」
  • 宮坂 陽一郎一般社団法人
    日本アクアポニックス協会理事
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  • 西川 久登天然村事業部村長