本物の人間関係

友人の紹介である人物と会った。その人は数十年前に投資ファンドで7百億円を運用して破綻させた事により、詐欺で刑務所に10年服役していた男であった。
当時はベンチャー企業と呼ばれ始めたころで、ソフトバンクやパソナといった若手経営者が世に名前を売り出していた時代であった。彼もその中の一人で飛ぶ鳥を落とす勢いでビジネスを楽しんでいた。
天ぷら屋のカウンターで友人を交えて食事をしながら昔話を聞いていた。
今は名前が汚れてしまい、何をやるにも気力が湧いてこなかったという。
最近になって友人の励ましや生き方に感化され徐々にやる気になってきたという。
彼曰く、いい時には人はどんどん集まってくるが、悪くなった途端に潮が引くように去っていく。それが心を深く傷つけ自ら当時の友人に連絡するのに躊躇があるのだ。
そんな中でも私の友人は彼の力になるべく、身の回りの世話から精神的なサポートまでやっているのだ。また、超有名な一部上場会社の社長も彼と昼食をしながら力づけしているという。それを聞いたとき一人の人間として付き合う姿勢と、自分の利に適う相手として付き合う場合と見たときに断然、後者の方が多いのだろうと思う。
ビジネスを通して友人になった場合でも、どん底にいる相手にいいときのように一貫した姿勢で付き合える人間はそうはいないだろう。私の友人や超有名な社長も当時から一人の人間性に魅力を感じて付き合っていたのだろう。たまたま、ビジネスで失敗して社会的責任を負ったとしても、彼の人間としての在り方は変わらないのだ。何かそんな人間関係が作れたら素晴らしいと思った。