親友の息子

親友から連絡があり、息子が私と話がしたいので直接電話があるからよろしくと言われた。

息子Sとは数年ぶりの再開になる。

早速、連絡があり会う事になった。

カフェで待ち合わせをして、少し早めに到着した私は席に着いた。
目の前に美女がいて、数人の女子グループを彼女がリードしている様子を眺めていた。

すると、Sがやってきた。久しぶりの再開だったが、彼のイケメンぶりは更に磨きがかり、大人の風貌と共にジャニーズから脱皮した俳優を思わせるほどだった。

今までこちらを一切気にしなかった、美女はこちらに視線を移した。勿論、私ではなくSを見て、次いでに私をチラ見したのだった。
それほど、女子を惹きつける魅力を備えている。

私は少し複雑な気持ちでいた。

しかし、Sが少し元気のない気を発していたので、私の方から話を切り出した。

親父からだいたいの話は聞いていたが、最近彼女と別れたらしいので、その事に触れてみた。

彼は青山学院大学を中退し、歌舞伎町でキャッチをアルバイトでやっている。
居酒屋に誘い込む為に駅前で客を引いてくる仕事である。
彼の能力は要領の良さに加えて、頭が良く、会話力で相手の懐に飛び込み、距離を縮めて仲良くなる素晴らしい力を備えている。
本当に親父そっくりな息子なのだ。

しかし、努力は嫌いでコツコツ続ける地道さが親父譲りで皆無なのだ。
おまけに一獲千金を狙うも、他人から利用されて、痛い目を味わう始末は親父が実証済。
このまま行けば、Sも同じ道をたどるのは必定と見ている。

そんなSの姿を見るにつけ、彼女から将来性に見切りをつけられ、ふられて落ち込んでいたのだ。
そして、自身も将来の道筋に迷いと不安から、何かのきっかけを掴みたいと思ったのだろう。

しかし、彼と話をしていると同じ年代の思考とは一線を画する資質を感じる。
新卒二年目に該当するSは自ら稼ぐ仕組みを模索している。
ただ単に稼ぐのでなく、仕組みにしようとしている思考は異才を放っている。

だか、事業の見方や人の見る目はまったくない。
明日食う飯の為に働こうとすると、人の為でなく自分の為に仕事を選んでしまう。

キャッチのアルバイトが良い例で、コスパが著しく悪い居酒屋に誘い混むので、割りが良い仕事なのだから、当然そこにはお金を払うお客さんに満足はない。
コスパの悪い分の銭が自分の懐に入るからだ。

この悪い分の銭が自分の懐に入る仕組みの仕事が彼の周りに多過ぎるのである。
これは明日の飯の為に働く姿勢にある。

勿論、必要な時期はあるのだか、仕事がいけない。
そういう時は現実現場で直接お客さまから、お金をちょうだいする、価値を感じたお客さまが現実のものをお買い上げいただく商売に限る。

将来の価値を売るインチキな仕事は辞めるように進言した。
彼にはある人物を紹介する事にした。

親友のもう一人の息子Rは来年の新卒採用で我が社に入社する。

本当に縁深いものだと、深謝している。