マクロビオティック

マクロビオティックに抱いた最初の印象は貧相なイメージで、同じような姿をした集団が拘ってつくる雑穀料理として受け止めていた。

しかし、ひょんなことからマクロビオティックの料理教室に通ったのがきっかけで、それまでの印象が私の中で転換していた。
時の講師だったO先生の影響もあり、マクロビオティックとは正食であり、自然食、食養であると学んだ。
肉や魚の陰性なものを食べると同時に温野菜や玄米などの陽性を食する事で中庸のバランスをとる事が肝要になる。

まさに、現代のコンビニやファストフードによる食とは対極にあり、これからの時代に必須な食の学びに通づる分野でもある。

そのO氏のお弟子さんであるMが5月より天然村でマクロビオティック自然食のカフェをオープンする。
そして、自分の弟子が長野で成功しているから、お店を訪ねて一度見学して勉強したら良いとO氏が勧めて下さった。

早速、Mを伴って松本までお店を訪ねた。
キッチンgen。
JR松本駅から歩ける距離にある駅前中央通りに面する立地にあった。

そこは、手作り感のあるお店で女性のお客様で賑わっていた。
看板メニューが玄米おかゆパンである。
女将さんはうちのは日本一だと広言するように、テイクアウトのお客様が次々とやってくる。

席につきメニューをみると豊富な品数に驚いた。
大豆ミートの唐揚げやひれかつ、ベジバーグやベジカレー、コロッケなど動物性食材を一切使用してないメニュー構成になっている。
おまけにスイーツ類も豊富で甘酒プリンは絶品だった。

私たちは今週のおすすめのプレート料理を注文した。
メインはかぼちゃ春巻とソイミートと野菜のトマト煮込みだった。
かぼちゃの春巻なんて初めてだし、どうなのかと思いきや、ほっこり甘くて春巻の皮のパリッとした食感とベストマッチの圧巻で、トマト煮込みは野菜の旨味が凝縮されたミシュラン二つ星シェフ顔負けの非常にスペックの高い一品だった。

そして、本丸の玄米おかゆパンを一つ食した。
ゴルフボールくらいの大きさのパンにレーズンとくるみが入ったもので、もっちりとした食感に自然の甘みが口に広がっていく。
砂糖は一切使ってないのが不思議なくらいに、本来食材に秘めた甘み成分を引き出している。
まさに極上の一品だった。
お土産に持ち帰り翌日食したが、まったく質が下がらない旨味をキープしていた。

砂糖はマクロビオティックではご法度だという。
体には百害あって一利なし。
つまり、食材のポテンシャルを最高に引き出し塩加減で旨味を出している。

これは、京都美山荘の摘み草料理に通づるものがある。

どんなに美味い寿司や鉄板焼きでも毎日食べたいとは思わないし、今が旬の食材で言えば松葉ガニや白甘鯛、虎フグの白子などの高級食材と言われているものは、成金の連中がやりたい放題で値段がつり上がったに過ぎず、本来大した価値のない食材である。

相撲で例えるならば、物言いがつき勝負審判が土俵上で協議した結果、行事差し違いとなった格好である。

キッチンgenのマクロビオティックは毎日でも食べたい気がした。
近くに移り住んで毎日通いたいと思ったくらいだ。

薪釜で炊いた玄米は腸内活性や肌のツヤを保つ効果もあるという。
まさに女性御用達の店である。

マクロビオティックは普通の料理に比べ長い時間をかけて調理をする。
従って、手間がかかるので大量生産には不向きであり、キッチンgenは特定少数のお客様にはなくてはならない存在になっている。

女将さんもO氏から学んだ要素をアップデートして、オリジナルの商品として他に変わりが効かない店として、そして、松本の地まで足を運ばせるだけの実力を兼ね備えた店だった。

O氏のお弟子さんと同じ位置に立つMのキラリと光る眼差しが印象的だった。

5月から始まる天然村カフェではgenのようなわざわざ足を運ばせる店として、地元の人と都市部から来た人々のたまり場になっているだろう。