本社移転

オレンジを基調とした空間はシンプルでオープンなオフィスをイコムらしく演出していた。

創業からちょうど22年、5回目の本社移転となった。

さいたま新都心駅からすぐに明治安田生命ビルがそびえ立っている。
そこの34階に入った。お隣が三菱電機さんでフロアの3分の2を占めている。

おそらく彼らから見た私たちのオフィス空間は異次元に見えるだろう。

個室がほぼゼロになっている空間はオープン過ぎる位に開けっぴろげになっている。
ブラインドを全て上げると武蔵野の景色が180度に広がり、東京方面にはスカイツリーが見える。

これらのオフィス設計は社員全員が集まって、時間をかけて創り出された作品である。
会議室や休憩室、社長室はあった方が良いのか、あるいはどんな機能があったら便利かなどを集約して仕上がったオフィスは社員それぞれに愛着をもたらすだろう。

もはや私の出る幕はほぼゼロに等しかった。
内装や家具なども引っ越し当日まではまったく知らなかった。

知っていたのは予算位で、社長室は個室にはなっていないが、ロケーションの素晴らしい場所に配置してくれていた。
アゴラと呼ばれている数人のグループが集まって議論出来る場を二ヶ所に設けてある。
その象徴は会議室とは真逆の場になっている。
それはまるで、公園の中にある噴水を囲むベンチのような、明るく開放感に満ちた場所である。
軽い議論を交わすことで、柔軟な発想と素晴らしいアイデアを生み出す可能性を秘めている。

会議室のような密室の重苦しい雰囲気とは対極な場になっている。

引っ越し当日は、午前中ミィーティングが終わった後に14時位から始まるようになっていた。
私は天然村から来た社員Nと地下のレストランでランチをしながらビールを飲んでいた。
徳島からやってきた彼は、平日は天然村に泊まり込みで勤務している。
週末には世田谷の自宅に戻っている。
入社して約2ヶ月になるが、近況を含めて様々な話しになった。

ビールを4、5杯飲んだあたりで彼から前職で鬱になった話しを初めて聞かされた。
ストレスがある一定のラインを超えるとそうなるのだろう。
私はふと社員Kを思い浮かべていた。
彼は酔っ払った勢いで鞄を無くして大失態をしでかした報告を度々受けていた。
私は彼をストレスからきているものだと思っていたので、社員Nの体験談を共有しようと、電話をかけて呼び出した。

すると社員Tも一緒にいたので、4人で飲みながら話しているうちに宴会ムードになり、ワインボトル2本をあけてドンチャン騒ぎの様相に。
引っ越しの時間を忘れて2時間遅れで現場に駆けつけるも、しばらくすると机の上で寝てしまう始末。
おまけに目が覚めると社員Tも目を真っ赤にして寝起きの顔を互いに見て慌てる場面もあり、みんな一生懸命ダンボールを整理している。
私はだらしない姿をさらしてしまうも、ありのままで良しとしさらりと帰路についた。

いよいよ、月曜日から新オフィスでの仕事が始まる。

オンとオフのない会社としてブレイクスルーする時期を楽しみにしている。