楽市楽座

事業構想大学院大学の研究生活も終盤を迎えている。
表参道を拠点とするこの大学は、一般的に実践で成果を上げている実業家を講師に招いて、新たな事業を生み出すスキームを育む場として機能している。

今回の研究がそれと異なるのは、生涯学習まちづくり研究会が基礎となり、地方創生をテーマに地域の特性を生かしたまちづくりを学びをしている点に大きな違いがある。

同期には、取手市、佐野市、千葉酒々井町の各行政マンがいて、F教授や助手S氏が地方創生の原点となる「たまり場」を通じて地域活性化の研究課題にしている。
このたまり場が非常に重要な役割を果たす事がわかってきた。

F教授とS氏が酒々井町の空き店舗を活用し、見事に短期間でたまり場を形成しているとの発表があったので現地に行ってみた。
授業だけでなく、現実現場を自ら実践している点が評価に値するので、どのように運営しているのか、現地現物を見ないではいられなかった。

そこには、活気があり談笑する地域の民が集まり、まさに、たまり場が形成されていた。

その原動力は何なのか、現地に入りしばらくして理解できた。
カスタマーリレーション、S氏が見事にそれをやっていた。
彼女の持ち味を活かしているのは勿論、言動を見ているとミッションから紐付いているのがわかる。
彼女の躍動感溢れる一挙手一投足がそれを物語っていた。

一方で、彼女は苦笑いしながら言った。F教授は店に来ても腕を組んで奥の席に座り、交わろうとはしない。おまけにカスタマーリレーションに時間をかけすぎていると、お咎めを受ける始末に、戸惑うこともしばしばあったと言う。

教授という鎧が脱げずに一般の民と積極的に交わることをしないらしい。
それを聞き一笑に付して否定するも、授業で教えている事と現実現場の違いに、むしろ哀愁さえ感じるのはなぜなんだろう。
それは、F教授の人柄なのかも知れない。
それも徐々に彼女のサポートにより民とF教授の共通点を導き出し、見事に調和したコミニティを演出し、教授を見事に仲間入りさせたのだ。
まさに、悲喜こもごもであり、S氏は民の声を現場で反映することが成果につながる実体験を身につけている。

カスタマーリレーションが基礎となり、たまり場を形成しているが、コンテンツも大きな要因だろう。
地域住民手作りの品を店舗で展示をしている。
非常に価値の高いものが多く揃い、東京の売価の半値ほどのプライスになっているので、循環のサイクルが早く、バリエーションが維持出来ている。

実際に訪問した日には何人ものお客様が手に品を取り、売り手の背景を説明するS氏とのやりとりが見事に調和していた。

そこには、既得権益も規制すらもない、楽市楽座のような世界が広がっていた。