案件

そこはマイナスエネルギーに満ちていた。
昼間でも鳥肌が立つ怖さがある。
それはまるでホラー映画の様相を呈している。

案件の紹介があり現地に足を運んだ。
現在は廃工場跡地になっており、4ヶ月前に破綻してからゴミや産業廃棄物があちこちに散らばっていた。
事務所は不気味にドアが開いていて死体でも出てきそうな雰囲気を感じる。

後ろを振り返ると誰か人の気配を感じた。
1人で来ていたので他には誰もいないはずだったが、気味が悪くなり足早に去っていた。

歩きながら考えていた。
あそこには関わらない方が良さそうだと感じた一方で、他にはないバリューを見出すことが可能だろうか思考を巡らせていた。

数日後、ある人物を連れて現地を案内してみた。
彼らは見た瞬間に目を爛々と輝かせていた。
このリアルな廃墟な感じがとても素晴らしく、撮影で使わせてもらえないかと言ってきた。

彼らはまったく違う観点から発想していた。
素材をそのまま活かす術を得意としているのだろう。
新しさより古びたテイストの方が価値があり、わざわざ新しいものに古びたようなデザインをして工夫するそうである。

もはや、自らの既成概念で縛られた発想からは、外に出ること叶わず、マイナスでしかなかった案件が新たな可能性を見出した瞬間だった。

案件も個性を磨けば宝物になりえるかもしれない。