Menu

Close

社長ブログ2012.11.22

ペトリュス

「希少価値の高いワインが安く手に入るからどう?」
親友のMから連絡があった。

Mはある人物のワイン試飲会の席で初めて口にした感動を話した。
コルクを開けてからデキャンタに移した時、部屋中にワインの香りが充満して、口に含んだ時はいまだかつて無いワインに驚愕したそうだ。

“ペトリュス”
株式会社イコム 社長ブログ ペトリュス

実は私も初めて聞いたワインの銘柄だったが、少しワインに詳しい人なら誰でも知っているブランドだと言う。
ネットで調べてみると安いもので10万円台、高いものだと500万円まであるのでびっくりした。
Mから手に入るのは78年、79年もので市場価格だと30万円から40万円位の値がついている。

市場価格よりも安く手に入る。このフレーズを聞くと私の思考は自動的に疑いを持つようになっているらしい。
自らの交渉やコツコツ積み上げた仕事をしない限り、そんな上手い話は世の中に存在しないからである。
現にMはそれで失敗しているので気にかかっていた。私と正反対の性格のMは人を疑うことをしないのだ。
そんなMを利用して一儲けしようと企んでいる連中を私はずいぶん見てきた。

今回もそんな事だろうと思ったが、実際に届いて現物を確認すると何とも言えない不気味さがあるのだ。
78年というと34年前の物である。歴史を感じると言えばそうかも知れない、一方で懐疑心から見立てるとその歴史を感じる古さが怪しく映るのだ。
実際に銀座のワインバーのマスターに聞いてみた。すると、結構偽物が普通に出回っているそうだと聞いて驚いた。特に82、83年だと80%の確率で偽物だという。しかし、70年代なら五分五分だそうだ。
本物の確率は50%、マスター曰く、コルクを開けて見れば一発でわかるらしい。
要するにその手のワインは金融商品と同じで、市場原理主義で相場を張って、損得勘定でうごめいている連中の世界である。

早速、Mと二人で78年を一本飲んだ。期待が膨らむ中、コルクを開けてデキャンタに移すと、その色合いは見たこともない土色だった。
二人でにっこり微笑みながら一緒に口に含んだ。
それは偽物とか本物とかはどうでもいい感動があった。
深い、深い味わいを体験できた事に感謝の念が湧いたのだ。

ペトリュスより酒屋で8000円のワインが美味しいと言う人もいるだろう。
しかし、34年間もの長い時間貯蔵していた一本とは比較にならないと思う。
銀座のマスターは古ければ美味しいとは限らないと言っていた。

残りの79年の一本はもう少し時間をおいていただこうと思う。

ご相談・ご質問等ございましたら、
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ