社長ブログ2015.01.11
大分視察
K氏は72歳になる障害者だった。
この日初めてお会いするまでは、印鑑専門店を経営する人物が10年前にアクアポニックスを発明して特許を取得してると聞いていたが、実際に現地を訪れてみると、本当に古びた印鑑を売るお店に電動車椅子に乗っている初老の人物が待っていた。
店内には水槽が幾つかあり魚が泳いでいた。
非常にシンプルな作りで水槽の上に野菜が育っていたが、何か特別な装置というより観葉植物が水槽の上に存在している印象で、想像していたものよりも簡易的なものであった。
私が最初に目についたものは額に飾ってある一枚の絵であった。
その絵は「みんなの長屋」と題したコの字型に配置された長屋を取り囲む庭で、子供達が手を繋いで遊んでいる風景があった。
私がK氏に訪ねると、現代の隣り近所の希薄な人間関係を昭和初期までは当たり前にあった家族同然の付き合い方を再現させるのが、私の夢だとはっきり言っていた。
その為にこの長屋コミニティをハードとソフト両面で確立する必要がある。
夢を実現するにはK氏は残された時間は少ない。
私が感動したのは、72歳になっても夢が明確にあり、障害者のハンデをもってしても諦めないメンタルの強さだ。
また、天然村にも通じるものを感じて私は息子さんの事を質問した。
何と彼の息子は高校二年生であった。
アクアポニックスの装置も息子のお導きによって実現したのだ。
息子は魚が好きで水槽で魚を飼育していた事がきっかけとなり、たまたま水槽の上に植物を置いていたら、成長速度が信じらない位の早さと大きさになったのが、この研究を始めたきっかけになったそうだ。
私は息子には会えていないが、何か不思議と縁深いものを全身で感じとった。
K氏の夢を実現するのは息子と我々が関与するような直感があるのだ。
これまでの研究成果を写真と共に説明してくれた。
そして、我々の質問にも明快に答えてくれた。
この研究結果を生かして自ら事業にすることは困難であることから、我々にそれを実現して欲しいと言っていた。
確かに魚の糞を栄養分にした野菜は成長が著しく、本来のオーガニックな野菜がたくさん収穫出来て、野菜の発する微生物が魚の栄養分になっているので、魚の動きが別な水槽と比べると明らかに違って活発になっている。
これを不動産とディスラプティブする事で、新たな場の活用が可能になり、イコムの事業の強みが発揮出来るのだ。
今回初めて訪れた大分別府、気候も環境も素晴らしい地域で、おまけに温泉の泉質が素晴らしく、郷土料理のコスパはハンパなく凄かった。
「由布御所」のヤマメ塩焼きは大きく身が柔らかであっさりした脂がのっていて美味しかった。
「ろばた仁」では、郷土料理の鳥てんが驚くほど柔らかくジューシィーで締めのだんご汁も最高だった。
「友永パン」は朝から大行列が出来る大正時代からの老舗パン屋さんで、バターフランスという品は絶品で並んで待っただけの価値ある一品であった。
こんな素晴らしい場所で天然村プロジェクトが動く事になるとは、本当に夢を追うのに相応しい条件が揃っている。
K氏との出会いに感謝である。
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