社長ブログ2016.08.07
すごい世界
A社よりある企業の買収を提案された。
その時は特に魅力を感じなかった。
しかし、よく書類を確認するとシナジーが出せる可能性を感じ始めていた。
同一業界ではあるが業種が異なるため、組み合わせ次第ではよい買い物になると判断した。
初めて具体的にMAを進めることになり、自分なりに留意点をまとめてみた。
相手企業の強みは何か。
継承する資産、負債の中味を精査する。
買収金額の資金調達。
主にこの三つをそれぞれの専門家に相談してみた。
そしてA社に具体的に話しを進めるにあたり、A社への報酬がどの位になるのか聞いてみた。
すると、担当者のN氏はさらっと言い放った。
9000万円になります。
私はその金額に驚愕したと同時に大声を張り上げた。9000万円!
N氏はおくびにも出さずに、その金額が私どもの報酬になりますと言った。
例えて言うならば、不動産の売買で仲介業者が得る報酬の規定は売買金額の3%が上限になっている。
しかし、MAの仲介報酬に上限の規定はないのだ。
すごい世界があるものだと知った。
私は2000-3000万円位だと踏んでいたが、それとは大きくかけ離れた数字だった。
おまけに、交渉相手が二社加わった事で確実に買収出来る状況ではなくなっていた。
話しを進めるには手付金を400万円用意する必要があり、たとえ交渉が成立しなくともその金額は戻せませんと言う。
それはまるで、カジノのポーカーゲームで乗ったら最後まで突っ張り通す覚悟で臨んだが、相手が余裕で受けている様子を見て突然降りてしまい、かけ金がすべておじゃんになったかのようである。
要するに、貼った金は戻しませんよと言う、賭博の元締めのようなA社は強気相場で、やりたい放題の一人勝ちの様相を呈している。
しかし、事業なので丁半博打のような賭けに出るわけにもいかず、相手の出方を見てから判断することにした。
翻ってみると情報を握っているA社はコントロールが自在で、価値の対価さえ操るのもお手の物。一方で、閉ざされた世界での取引で、米国のようなマーケットに対してオープンな流通市場とは対極にあるのが日本のMAの現状である。
よく新聞を賑わしている大型な買収は兆単位にもなり、そこに介在する仲介役となる銀行や企業はとてつもない額の報酬になるのだろう。
担当者のN氏も元金融機関出身で、MA事業部に所属していたようだが、今はA社で稼ぐことかなりの給与水準に達しているのが容易に読み取れる。
すごい世界を垣間見る機会に恵まれ、次のチャンスに生かしたいと思う。
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