二極の世界

プールBARでラムのソーダ割りを飲みながら考えていた。

ここにいる人々は、なぜタイに来てまでホテルのプールで時間を過ごすのだろうか。
プールからタイの街が一望できる。
プライベートな空間からロケーションは楽しめるが、基本的にどこの国でも同じような体験が出来るだろう。

ほとんどの人がスマホを見ながらのんびりと過ごしている。

おそらく、こののんびりな感覚をプライベートなプールでお酒を飲みながら過ごすことが有意義なのかも知れない。

個人的な観点からは、欧米の文化が侵食して経済的な発展を遂げているのは、かつての日本も同じで現在も後進国ではそれが進んでいる。

オフィスビル、ホテル、ショッピングモールなど欧米の巨大資本が注入されている。

タイも同様これらの外資系の施設に就職することで高い収入を得ている。

この世界と一線を画する場所がある。

チャトチャックマーケットである。
アジア最大級のウィークエンド市場で、そこへ入ると来た道を戻るのは不可能なほど巨大な市場で、もはや需要と供給がバランスしているのが不思議に思うほど、店がたくさん集積している場所だった。

ここは、タイ料理の屋台から雑貨や服から家具や陶器類まで、とても1日では回りきれないほどの規模だった。
問屋と小売が混在していて、普通にショップの人が仕入れにきているようだ。

ここには、タイの文化が詰まっていて、人の触れ合いや風情を感じることが出来る。
日本で例えると、アメ横とかっぱ橋商店街を合わせた巨大版だろう。

そこは、ホテルのプールBARで感じていた違和感を払拭してくれた。

ギャップのある世界

空港の外に出ると独特の香りが漂っていた。

8年ぶりにタイに入った。
タクシーから眺める景色は近代都市を思わせるほど様変わりしていた。
こんなにも変わるものかと感心しながらホテルに到着した。

朝7時にチェックインしてから軽く睡眠をとって街を歩いた。
途方もない時間をひたすら歩いていた。
蒸し暑く、空気が異常なくらいに汚れていて、鼻毛がこんなに早く伸びるのかと翌朝に気付いてびっくりした。

実際に街を歩くと、近代都市と旧市街地がバラバラに混在していて、秩序があるようでなく、秩序がないようであるかのような街が広がっていた。

軽めのランチにしようと思いふらっと店に入った。海鮮系の店内は欧米人が集まっていた。店員のおすすめを注文してビールを飲んで会計すると、何と6000円を超えていたのでびっくりすると同時に何でこんな店に入ってしまったのかと後悔した。

その後、T氏と待ち合わせをして目的地へ向かった。こちらはUberではなくGrabが主流でアプリをタップするとすぐに迎えにきた。

今回のタイの目的はT氏がアーティストとして取り組んでいる現場を見ることにあった。

夜の食事はT氏がオススメの地元料理でコスパ良い店に入った。
飲んで食べて3000円もしない現実に昼の店はいったい何だったのかと、ギャップに戸惑っていた。

翌日には、ようやくタイの現実現場を理解する事ができた。
そこのショッピングモールは二極に分断されていた。地下は屋台風の地元料理が食べれるスペースが広がっていて、地元民で賑わっていた。ここは200円で食べれる店があちこち点在している。
一方で上層階では、欧米人や現地の富裕層が上品な店で食事をする姿を見かけた。こちらでは桁が一つ違っていた。

そうなのだ。タイは極端なのだ。

内と外が街の外観から店の内部に至るまで、ギャップのある世界が混在していたのだ。

処世術

感じの良い人だなと直ぐにわかった。

投資銀行のトップであるK氏と話をしていると、彼がいかに処世術に長けているか理解できる。

何回かお会いしていたが、この日はじっくりと話をする機会があった。
第一印象は勿論のこと、明るく柔らかなタッチで自然と会話をしてくるのだ。
華やかさを持ち備え、知識人ともあって話題も豊富なので会話が途切れることなく、心地良さが残っている感じがある。

K氏は新卒からの生え抜きで、大企業のトップまで出席したバリバリのビジネスマンで今年48歳になるそうだ。
確かに、処世術を武器にトップの座を勝ち取ったと言っても過言ではないだろう。

N氏も処世術に長けている人物である。
彼女はCAでファーストクラス専用のVIPセクションに所属するキャリアウーマンである。

彼女と会話をしていると、その処世術の高さに驚かされる。普段からVIPの人物と話しているためか、言葉遣いも非常に丁寧で、質問をしながらわからないフリをしている。また、自分のことを誇張しない程度のバランスで話したり、具体的に褒めてくれたり、常に笑顔でいるのだ。

そんな2人を観察していると、いかに自分に処世術が欠如しているか気づいてしまう。

まずは、自分勝手で自由な世界で生きている時間が長いと、処世術は育むことは難しいだろう。
出来ないフリなどやったことがないし、無理に笑顔をつくることもなければ、柔らかい感じでもない。

逆に質問ばかりして相手が窮する場面があったり、話がトンチンカンな方向へいったり、人の話しを遮って自分の言いたいことを話したり、それはもう自分のことしか考えていないと言われるはずである。

こんな人物は出世するはずがないのだ。
それもそのはずである。
創業した時からトップなのだから、その感覚が欠如しているはずである。

中小企業の創業者で処世術が長けている人物は大企業へと発展しているのかも知れない。

2020年幕開け

2020年の幕開けはアダム&イブから始まった。

ここは365日24時間眠らないサウナである。
元旦の朝に入り、サウナとアカスリをして心身共に清らかになって新年を迎えた。

一昨年は、九州のお滝に入り元旦を迎えた時と比べるとずいぶん緩くなったようだ。

元旦の朝から様々な面々が集まっていた。

若い男性3人組は水商売をやっているようで、大晦日に店じまいしてから直接来たようで、真面目に業務の振り返りを語っていた。
自分を安く売るな、ここのラインは譲るな、先輩から助言を受けながら後輩はサウナの中まで休まる素振りはなかった。

ボブサップのような黒人がサウナから出てきて、巨体を揺らしながら水風呂に入った。
それはまるでアザラシのようだった。
彼もまた店から直接来たような感じだった。
おそらく店の用心棒だろう。

ここに来る連中は少々変わり種が多いようだ。

元旦ともあろう日に朝からサウナに来るとは、普通の人ではないことは間違いないだろう。

上海蟹を食べたいと思って昨年に予約をしていた。
3日から営業をスタートした富麗華は中国飯店グループで上海蟹料理には定評がある。
紹興酒漬けのねっとり濃厚な甘く締まった身の味わいは上海蟹を実感した瞬間だった。
極上の味はフカヒレの上海蟹肉スープで、これは一度食べると忘れられない記憶に残る味だった。

2020年の幕開けにふさわしい至福の時を過ごしたが、
コスパは良くないので当分来ることはないだろう。

やはり、抜群に美味しくてお手頃価格の店がいい。
では、お手頃な価格とはどのくらいなのか、よく聞かれることがある。

それは、15,000円を上回らない程度だろう。