長男

携帯からの電話は長男だった。

石垣島から連絡がくる時は決まって依頼のパターンだ。
今回も同じような話だと予測はついていた。

飲酒運転で車を大破させ、罰金の支払い期限が過ぎたので、40万円を払い込まないとならない、そのお金を貸して欲しいという依頼だった。
検察は分割払いや支払い猶予は受付ないようだ。

前回同様、追い銭はしないときっぱり断ると同時に、人に依頼することが無意識に選択していることを伝えた。
自らの責任で対処することを気がつくまでは、それが継続するだろうと付け加えた。

最悪のケースはどうなるのか、聞いてみると刑務所に服役するそうだと言った。
それならば、自らの責任で対処するのだから行ってこいと伝えた。
彼は一瞬戸惑っていたが、話をしているうちに納得したようだった。

詳しく調べてみると、刑務所の中に労役場という施設があり、そこで1日5000円の日当で罰金を支払う仕組みになっている。
従って、40万円を完済するまでは80日間服役することになる。

シンプルにそれを実践すればいいのだ。

長男が覚悟を決めて検察官に刑務所に入ると伝えたところ、驚いたようで普通に働ける人はその選択をしないから、よく考えるように促されたようだ。

長男からそのように報告を受けたが、とにかく検察官にお願いして刑務所に入れてもらうように頼み込めと言った。

一般的には親が子供に刑務所入りを薦めるのはおかしな話だが、そもそも我が家は一般的ではないので、もはや他と比べても仕方がない。

労役場では光熱費や食事代のコストを考えると、1日5000円の日当では割りが合わないようだ。
つまり、なるべく入れないように身内からお金を借りてでも、他から借金をしてでも納付させたいようだ。

しかし、彼はすでに借金が出来る信用はなし、親は刑務所入りを薦めている以上、検察官は王手飛車取りの状態である。

彼のためにも、検察官が折れて刑務所に入れてほしいと願っている。